43日目 ページ15
ガゴンと大きい音が鳴って、グンっと強い力で引っ張りだされたのは分かった。
その瞬間エレベーターに乗っていた人達が声を出して驚いていたのも分かった。
「はぁー…」
今、だれに抱きとめられているのかも…分かる。
「次郎くん…」
「一人で帰っちゃ意味ないじゃん」
「ごめんなさい…」
謝った瞬間少し力が強くなる。
「俺らもあの女の人達との会話切るの遅すぎたけど…」
「でも、楽しそうだったよ」
「ああいう人達の相手なんていっぱいしてきたから、そう見えただけ。」
そう言うとゆっくり私の体を離す。
その瞬間フロアに居た人達の支線が刺さった。
「ちょっと場所変えようか」
･
次郎くんの一言で私は今旅館にある中庭に来ている。
ライトアップされていてとても綺麗。
私は次郎くんの一歩後ろを歩きながら景色を見ていた。
「みんなに連絡しないの？」
「直ぐに見つけたとは連絡したけど、今は連絡したくない。」
私はお風呂に上がった時、髪を乾かしながら『そろそろ出るよ』と連絡を入れていた。
それを読んだみんなは出てくるの遅いなって事で私を探していたらしい。
まあ、直ぐに見つかったけどね。
「まあ、今回のは俺らが寂しい思いさせちゃったからね…」
「そ、そんな事ないし…」
「ホントかなぁ？だって泣きそうな顔してたじゃん。」
「…うぅ｣
正直次郎くんが来てくれてほっとしてたし、実際…寂しかったし…
「ありがとう…」
「こちらこそ、ごめんね」
そう言うと次郎くんがぴたりと止まり私の方へ向き直る。
「私も躍起になった。ごめん。」
「ふふ、お互い様だね。」
「そ、お互い様だよ。」
改めて光に照らされた浴衣姿の次郎くんをじっと見る。
やっぱり惚れ惚れするくらいに格好いい。そりゃあこんなイケメン声をかけたくなっちゃう気持ち、分かるよ。
「浴衣、似合ってるね次郎くん」
そう言うとちょっぴり照れる彼。
口元を片手で隠す。
「俺はAちゃんの浴衣姿独り占めできて…今、めちゃくちゃ舞い上がってるけどね。」
目も合わせず小声で私に伝える。やっぱり次郎くんはヘタレだ。
「それに最近忙しくてちゃんと伝えられなかったけどさ…
俺はずっと、あの日からAちゃんのこと好きだよ。」
ヘタレだって、思ったのに…。
今の次郎くんは私の瞳を捉えて離さない。
「と言うより、もっと好きになって…自分でも困るくらい」
そう言うと彼は私の唇に触れた。
「キス、してい？」
私の返事なんか待つつもりないくせに。
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ゆめ - すごく面白い作品ですね！読んでて楽しかったです！ (2020年11月14日 18時) (
レス) id: 49abb5db6b (このIDを非表示/違反報告)
美穂(プロフ) - こんばんは☆とても面白くて☆MAXです♪更新楽しみにしてます(^ー^) (2019年8月18日 2時) (レス) id: a884a0770b (このIDを非表示/違反報告)
モフ子 - とっても面白いです！更新頑張ってください (2019年8月12日 1時) (レス) id: 7d376a875d (このIDを非表示/違反報告)
のんのん - とても面白く続きがすごく気になりなりました！更新頑張ってください(^^) (2019年7月16日 21時) (レス) id: aa2eff3fe1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はやま | 作成日時：2019年3月8日 21時
