舞賀家との暮らし方【ars】 (ページ10)

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5日目ページ10

「…ん～、ないって。この子には」

張り詰めた空気の糸を解いたのは一郎くんだった。

「だってめっちゃ困ってたんだよ？」
「でも流石に可能性は否定できないだろ？」
「ごろが疑う気持ちも分かる。」
「…なら…！」
「でもおれが観るからにそうは見えなかったの。だってこの子1週間も家探してたんだよ？休憩ホールの隅っこで。」
「え、なんでそれを…」
「だっておいらずーっと見てたもん。んふふ」

ぷしゅ～！

顔が沸騰しそうとはこのことを言うのだろう。

「な、なんでそれを知ってるって私に言ってくれないんだ…」
「だって言うタイミング無かったじゃん」
「それはそうなんだけど！！」

私があからさまに恥ずか死してるのを見て満足そうな一郎くんは、五郎サンに向かって問いかけた。

「…ね？ほんとだと思いたくない？」
「…いち兄が…そう思ってんならそれでいいよ。」
「んふふ、さすがごろちゃんならわかってくれると思ってた！」

「五郎くん考えすぎだったのかもね？」
「あはは！そうかも～！ごろくんいつも堅いところあるもんね！」
「まあイイじゃん？一郎サンに1週間の醜態晒されて本人オーバーヒートしてるし本当っぽいじゃないですか。」

一郎くんの介入があって空気がゆるくなった途端にみんなが好き放題話し始める。
その空気感にどことなく安心した。

「じゃあさ、引越しいつにする？」

次郎くんが私に話題を振る。

「えっ？え～っと…まだ向こうに1週間は住めるから！そんなに焦らなくても…！」
「でも早め早めがいいって言わない？」
「確かにそうなんだけど！ほら、みんな課題とか大変じゃないの？」
「ああ、課題？俺はもう終わってるよ。なんなら今余裕あるし。俺車運転出来るから荷物持ってくものとか手伝えるし！」
「そうなの？」
「ん、そーなの」

ニコっと微笑む次郎くん。
なんかモテるのわかるなあって思う王子様スマイル。

「じゃあさ！課題終わってる人優先して明日からAちゃんの引っ越し手伝おーよ！」
「え！？明日？」

話の展開を簡単にジェットコースター並に変える三郎先輩。
この人…一言一言にリスクがある…ｳｯ…

でも本人はなんだか楽しそうで…憎むどころかちょっと可愛いんだよね。