舞賀家との暮らし方【ars】 (ページ7)

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2日目ページ7

そのあとの講義はずっとぼーっとしっぱなしだった。
最後の講義が終わった今でも頭がふわふわしてる。
私が生まれて初めて講義をサボったなんて事をかき消すぐらい、舞賀家に住まわせてもらうことが大きな出来事すぎて…

「なんかゆめみたいだ…」

いっそ夢であれと今日何度願ったことか…

「夢じゃないぞ？」

？今一郎くんの声聞こえた気がする…

「ちょっと！Aちゃん！」

「へあ！？」

「ぷふ…へあ！？って…ふふふ」

笑い声の方を向けば一郎くんが横で膝を抱えて笑ってる。
初めて話したお昼の時と同じ話しかけ方。

「一郎くん！？なんでここに居るの？」
「なんでって…Aちゃん迎えに来たの！」
「だって…講義の終わる時間教えてなかった…」
「俺の弟、Aちゃんと学科一緒だもん。」
「あっ…そっか」

確かに。舞賀五郎サンは私と同じ学科だ。
有名人だもん…私も何となく把握してた。
っていうか今は一郎くん膝抱えて座ってるからいいけどこれ立ったら私女子に「あの女抜け駆けよー！」みたいな理由付けられて袋叩きなのでは…

「おい、いち兄！なんでここにいるんだよ！」

もんもんと悪い妄想と葛藤していたら後ろからよく通る男の人の声が聞こえた。

「あ、ごろー！ちゃんと講義寝ないで受けてた？」
「ったくいち兄ここ来るならさき連絡しとけって…」
「あれー言った方が良かった？ごめんってば！」
「ん…まあ、いいよ別に…今回だけだけど。」

なんだか一郎くん来てくれて五郎サン嬉しそうなのに…あっ、これはまさか…

「ツンデレ…」

ポツリと…

「はあ？」

あー！しまった！今めっちゃふたりの空間出来上がっちゃってたから空気になろうと必死だったのに！ツッコミ入れちゃダメじゃんバカバカ！

「あ！ごろちゃんには言っとかなきゃ！ちょうどいいし！」
「あ？今こいつ俺の事ツンデレって言ったから…」
「そうなの！その子！今日おれらの家来るお客様！」

そう言われた瞬間一郎くんと五郎サンへ集まっていた視線が一気に目線が私へと向いたのが嫌という程分かった。

「…あー…ちょっと、話はあとにしよういち兄。」
「え？…あっ…そうだよね。おれまたドジやっちゃった。」
「ねえ、Aちゃ…って…あれ？」

一郎くんが私に喋りかけた時にはもう私は講義室を飛び出していた。

「何してんだ私…」

逃げ出すなんて周りからしたら肯定みたいなもんじゃない…何してんだろう…

「あーもう…」

もうこれから安泰じゃなくなった。確実に。