29日目 ページ35
みんなが帰ってきた後、私の復活記念とか言ってそれぞれ差し入れをくれた。
ケーキとかプリンとか…とにかくいっぱい。
とりあえず日持ちが短い方から順に食べていこうと、有難く冷蔵庫にしまった。
そして私はお約束通り四郎くんとゲーム地獄。
でもお仕置きって言うよりは楽しくて私からしたら日常。
「はぁー病み上がりなのに四郎くん容赦なさすぎ」
「ゲームなんて室内でやるもんなんだから体調関係ありません」
きっと彼なりに私の嘘を気にしていたんだろう。
「…ああ、ちなみに」
「ん？」
「昨日の朝嘘ついた理由、ごろから聞いた。」
やっぱり…気になってたんだ。
「あはは…完全に私情なんだよね…ごめん」
「いいよ。俺らも多少なり関係してるっぽかったですし。」
「んー…まあ…多少なり？」
多少なりっていうか殆ど…って言うのは喉まで出てきたけど飲み込んだ。
私がちょっと優柔不断だったのもあるし。
「でも俺、謝んねーよ」
「…？」
「俺は言いたいから言ったんだもん」
「…うん」
多分私だって彼らの立場ならそうする。
恋とはそういうものだ。
「恋愛なんてあれこれ我慢しろって言う方が無理でしょ」
やっぱり。
私だって恋愛経験ないわけじゃないから、四郎くんの気持ちは理解出来る。
「そんで、ごろからいいことも聞いたし。」
そう言うと彼はゲーム画面から目を逸らし、流し目で私をチラリ。
「え、いい事？なにそれ！」
四郎くんの煮え切らない言葉が純粋に気になった私は四郎くんに問いただす。
「あんたが昨日ごろに言ったことに決まってんじゃん」
「あ…」
「思い出した？」
ニヤニヤと楽しそう。この人は人を手の平で転がすのが上手い。
いつも四郎くんにはまんまと引っかかってしまう。
「思い…出しました」
「ごろは律儀だねぇ」
「え？」
「俺だったら絶対お前が言った事、みんなに言わねーもん」
『正々堂々としていたい』と彼はみんなに昨日のことを話したらしい。
ちょっと私からしたら恥ずかしいんだけど、ね。
「ま、そういう事なら俺らも遠慮しないんで。
覚悟しといた方がいいよ。｣
彼はやっぱり楽しそうにニヤニヤ笑ってた。
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作者名：はやま | 作成日時：2019年2月23日 15時
