23日目 ページ29
「そうだぞA。絶対測れよ？」
お前に拒否権などない！みたいな口調…
朝から俺様が止まらない五郎くん。
「分かったよ。測るから皆心配しないで」
いつもより過保護なくらい気にかけてくれる。
その優しさを身をもって感じるとやっぱり昨日の事が現実味を帯びてくる。
1人で思い出して恥ずかしくなってたら、隣にいた三郎くんが"なんかAちゃん顔赤くない！？熱また出てきちゃったの？"なんて焦り始めた。
鈍感組の三郎くんと次郎くんはめちゃくちゃに焦っていたけどほかの3人はニヤニヤしてて…
「確信犯め」
精一杯抵抗してみせた。
．
そんなこんなでいつもと変わらない朝ごはんを済ませ、現在体温計を見てちょっぴり焦ってる。
「37.3…」
なんだ、私まだ熱下がってなかったのか。
でも…今日から新しい課題、出されるはず。
「大学行かなきゃ…」
ああ、きっとパソコンと長時間にらめっこだ。
頭痛くなりそう。
「大丈夫だ！頑張れA！」
自分にそういいきかせ、自分が今も微熱と知ってから心無しかだるくなった体にムチを打って大学へ向かう。
ちなみに私が舞賀家と住んでることは大学内にバレたら(女子生徒とかが)ヤバいので朝はバラバラ。
5人はそんなの気にしないと言ってくれたけど、お互い何かあったら遅いということで私が無理やりそうしてる。
いつも皆1人で行かせるの気にかけてくれるけど今日はいつもより過激だった。
でもやっぱり熱があることはバレたらまずいしめちゃくちゃ笑顔で大丈夫と言っておいた。
心の中は罪悪感でいっぱいだった。
(はあ…心無しかキツイな)
講義中、集中しなきゃ行けないのに体は言う事を聞かない。
五郎くんはいつも講義中、私の後ろに座ってくる。
だから絶対バレちゃいけないバレちゃいけないとなるべく平然を装っていた。
いつもはお昼ご飯一緒に食べるのに、今日はお互い別々で食べた。
でも私の"バレないで"という願いも虚しく最後の講義の時、彼は私に紙をぽんっと投げてきた。
大学の講義中スマホを使うのが気が引けたのだろう、まるで高校生みたいなやり取りにちょっとくすりと笑ってしまう。
紙を開けば…
『さっきから辛そうだけど、大丈夫？』
彼の優しさが身に染みる。いつもは俺様なのにな…
でも嬉しさと同時にやっぱりバレてたと自分の嘘の下手くそさにもちょっとだけ呆れてしまった。
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作者名：はやま | 作成日時：2019年2月23日 15時
