0.5日目 ページ3
私はこの後この先輩にお詫びしてお別れして…次の講義を受けに行くつもりだった。
受けに行くつもりだったのに…
ぐいぐい。
「？？？へ？」
「ふふーん！早速さぶちゃんに報告だ」
何故か私はこの人に手を引っ張られて油絵棟へ来ている。
いや、私もめちゃくちゃ断ったんだ。
次の講義あるので失礼しますって…
なのに舞賀先輩は「いいじゃん1回くらい〜バレないバレない！」って呑気に…
ぐいぐい。
先輩の足は止まらずに三階のアトリエフロアに進んでいく。
ぐいぐい。
「だってすごい名案じゃん！
俺んち5人暮らしだけど部屋余ってるんだから〜使わないよりは使った方がいいよ！」
そう、この人が私の唸っていた理由を聞いた途端にめっちゃいい事思いついた！なんて大きな声を出したかと思えば、私はこの人の手によって今舞賀家に住まわされそうになっている。
そして何故か手始めに休憩ホールの隣にある油絵棟にいる舞賀三郎先輩の所へ私達は向かっているのだ。
「で、でもみんな男の子ばっかじゃないですか！」
「部屋鍵付きだし！確かに俺ら5人とも男だけど…そんなに信用ないかな」
ぐい…
私の腕を自信満々で引っ張っていた手が緩められる。
ちらりとこちらを伺うように呟いた。
「そ、そういう訳じゃないです！…ただ…話聞く限り学校でも有名な人ばっかだし…
私みたいなやつが入ったら先輩達にもご迷惑とか…っていうかそれ以前に皆さんが同意するとは思えなくて」
だってこのまま話進んじゃうとあの有名な舞賀兄弟とお家をシェアするって事だよね？
変な噂なんて立てられたらお互いデメリットばかり。
何より先輩に迷惑はかけられない。
「迷惑じゃないよ？」
「！」
私の表情から汲み取ったのか、先輩は優しい声色でそう私に言ってくれた。
「まだおれしかOKしてないけど…でもきっと大丈夫だよ。さ、さぶちゃんのアトリエ着いたから大丈夫か聞こ？ね？」
さっきからこの人に話を丸め込まれられてる気が…
ああもう…ずっと不安は溜まってくばかり。
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作者名：はやま | 作成日時：2019年2月23日 15時
