11日目 ページ16
私が舞賀家に来て2週間ちょっとくらい経ったある日。
ちなみに今日は早めに帰って来れたからみんなの夕ご飯を作っていた。
･
正直、あの後講義室での出来事を根に持った女子達に袋叩きにされるかと思ったけどそんなに大事にならずに済んだ。
まあその話をしたらみんなに笑われてビビりすぎだって言われたけど！
でもしばらく経った今、正直それは気にならない。
何より今気になるのは…
「あれ？Aちゃん今日帰ってくるの早かったんだ」
台所で野菜を切っていると薄く開いたドアからひょこっと顔を覗かせる一郎くんが居た。
「一郎くん、おかえりなさい！うん、今日はバイトもないし…」
「そーなんだ…じゃあ今日はいっぱい一緒にいれる？」
いつの間にか隣にいた一郎くん。
いつもより少し低めの声で私に話しかける。
「え、あ…うん！居れるよ！」
「んふ、嬉しい」
いつもより男らしい気がして若干の動揺。
この人絶対気付いているはずなのに、そんなものはお構い無しに彼は私の腰を緩く抱いた。
野菜を切る手が止まる。
「い、一郎くん…その体勢じゃちょっと料理しにくい…かも」
精一杯の声で彼に訴えかける。
「じゃあやめちゃえば？」
「え？」
「んー…今日疲れちゃったんだよね〜
だからさ？構ってよ、おれのこと。」
抱きしめる力が強くなる。
っ、ちょっと待ってくれ一郎くん、これ以上はキャパオーバー…
バタン！
心做しか張り詰めた空気のキッチンに玄関の扉の開く音が響いた。
「あ、四郎くん…おかえりなさ」
「ったく！2人して何してんの！」
「ちぇ…しろ帰ってきちゃった。」
バツの悪そうな顔をしながら腰に巻かれた手がするりと解かれた。
「全くこれだからうちの長男は〜…」
そしてなぜか超勢い良く帰ってきた四郎くん。
肩で息をしてるんだから相当急いできたみたい？
「Aも、ちょっとは危機感持ってくださいよ…」
「ご、ごめんね？？」
「あーもう絶対分かってないでしょアナタ。」
「うーんわかんない気がするけどわかる気もする。」
「ほら！全然ダメじゃん言わんこっちゃない！」
「も〜しろキレすぎ！おいらちょっと怖いかも」
「ったく！いちくんもやり過ぎ！」
ぷりぷりと女の子みたいに怒ってる四郎くん。私も馬鹿じゃないから何となくわかるけども！
相手一郎くんだし。その、まさかなんて無いよきっと。
ちなみにこのちょっと濃いスキンシップ、一郎くんだけじゃないのがもっと分からない。
それが私の最近最も気になる事。
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作者名：はやま | 作成日時：2019年2月23日 15時
