舞賀家との暮らし方【ars】 (ページ15)

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10日目ページ15

「舞賀家達…」

「んふふ、なにそれ～おいら達のこと総称して呼んだらAちゃんの中ではそうなるんだ…ふふ｣

目の前にいたのはなぜかツボってる一郎くんとびっくり顔の三郎くんと四郎くん。

「さ、ささ3人してどうしたの！？」

わかりやすく取り乱す。私もびっくりした…
何故！！私のバイト先に！！いるのだ！！

「むしろそれは私たちが聞きたいですよ？」
「俺らはここのカフェのテイクアウトしに来たの！」

なんだ、そうだったのか…お客さんだったのね。
そうと分かれば早速店長に伝えなければ…

「あ、店長！3名様テイクアウトのご注文だそうです！」

バイト用のエプロンを外した今は完全にプライベートなんだけれどやっぱりお客さんだから…

「…あっ！そういう事ね！」

全てを理解したように四郎くんは一人納得する。
そう、そういう事です。

「まさか3人とも揃ってバイト先来るとは思わなかった…」
「えっ！ここAちゃんのバイト先だったんだ！」

ほぇ～！と謎の声を上げながらキョロキョロする三郎くん。
そんな珍しいのかな…？まあそうか…珍しいか。

「みんな～注文何するの？」

私と三郎くんと四郎くんが少しおしゃべりしてる間一郎くんは店長に注文をしていた。

「あっ、店長私も手伝います！」

勤務時間外とはいえなんだか店長に注文取らせるのは気が引けた。

「え？いいよ！Aちゃんは今お客さんだよ」
「お客さん？」

「だってこのお客様と知り合いみたいじゃない？」

耳打ちで店長に言われた。

「そ、それは…そうなんですけど…！」

そしてその後、店長の粋な計らいでなぜか私含め舞賀家3人の注文したデザート(って言ってもパフェとかじゃなくてケーキとかプリンとか！)が「Aちゃんの友達割引」ってことになって少し値引きされた。

「本当にありがとうございます…そしてなんかすみません…」
「ん！いいのいいの！」

嬉しいような申し訳ないような気持ちがごちゃごちゃしてなんか複雑だった。

「わーい！めっちゃ嬉しい！ここ口コミで話題だったじゃん？」
「やばい常連になりそう！A割とか店長粋過ぎません？」

わいわいとみんなが喜ぶ中

「…ん、そうだね。」

1人だけ浮かない顔をしていたのを私はまだ知らない。