舞賀家との暮らし方【ars】 (ページ14)

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9日目ページ14

あの後私はふたりと一緒に食器を片付け、バイトに出かけた。
玄関までお見送りしてくれた二人にひらひらと手を振りながらバイト先へと足早に向かった。

私のバイト先はここら辺では口コミで評判の珈琲屋さん。
珈琲屋さんだけどデザートも充実してる。
テイクアウトとかもやってみよって店長が提案して最近始めたりとか。
それに、デザートの見た目も可愛いと言うことで女子高生とかにも人気。

「ほんとAちゃんのおかげだよ～」
「いえいえ！お力になれて嬉しい限りです！」

彼は店長の生田さん。
ちなみに口コミの評判のひとつには生田店長がイケメンだ！っていうのも大いに関係している。

そしてそんな彼に、私はよく新作のデザートのデザインを頼まれたりしていた。

「まじでAちゃんが考えたデザートのデザインをそのまんま作るとさ、お客さんがめっちゃ喜ぶんだよね！」
「でもまだ１ヶ月ちょっとしかバイトしてないし…
ここまで口コミで広がってくれたのはきっと店長の努力ですよ！」

彼はかなりお茶目で面白い人。よく笑うなって思う。
舞賀家で例えるなら…うーん。三郎くん…？

「それでさ、6月ってイチジクが旬でしょ？」
「あっ！もしかして季節のデザートの？」
「そうそう！またAちゃんにデザイン画を描いてもらいたいなって！」

月に1、2回頼まれる季節のデザートのデザイン画。
私はそれをデザインするのがこのバイトの一番の楽しみになりつつあった。

「はい、もちろんです。是非やらせてください！」

店長とデザートの雰囲気とかテーマとかを合間合間に話し合いながら今日はバイトを終わらせた。
いつもより上機嫌。自分でもちょっとテンションが上がってるなって分かっちゃうくらい。

「じゃあお疲れ様でした！」
「ん、またね！」

バイトのシフトの時間が終わり、店長にぺこりと一礼をして、舞賀家へと帰ろうと扉を開けた時

「あれ、Aじゃないですか。」
「え？Aちゃんいるの？？」
「あっAちゃん～！昨日ぶり～！」

聞き覚えのある人達の声がすぐ目の前から聞こえた。