犬系警部補。【降谷零】 (ページ37)

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「え？え、なんて？」

「くくっ……つくづくおもしれぇ女だ。」

いや、面白い女じゃないから。
そんな場合じゃないんだって。

「じゃ、黙ってついてきてもらうぞ。」

「っ！いってぇ……」

多分いま、ジンかウォッカに殴られた？か？
頭の後頭部がめっちゃ痛い。

「おい、ウォッカ。こいつを連れてけ。」

「へい、兄貴。」

だんだんと意識が遠のいていく。
ウォッカらしき人に自分の体を持ち上げられる。

「……っま、待ってぇ……」

「はっ、大人しく寝てろ。」

ジンのその言葉で私の記憶が途切れた。

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「おい、おいA！」

誰かの、誰かの声が聞こえる。

「起きてくれっ…Aっ……」

涙じみた誰かの暖かい声。

「……」

ゆっくりと目を開けた。
急に目を開けたから、すごく目が痛い。

「っ！起きたか！？ちょっと待ってろ！降谷さん呼んで来るから！」

私を心配そうに覗きこんでいたメガネのスーツ姿の男の人。

降谷さん？

“降谷さん”とは

誰なのだろう。

しばらくすると、2つの急いでいるような足音が聞こえた。

「A！大丈夫か！？」

急に出てきた男性。
金色の髪で綺麗な青色の瞳。

「……あの」

「？どうしたんだ？A。」

「……なぜ、私の名前をご存知で？」

「…はっ？」

おいおい冗談だろ？A？と多少苦笑いをするイケメンの男性。

「……冗談でもないです。ていうかどなたですか？」

「……」

私がそう言うと、イケメンの男の人がメガネの男性に“風見、早く医者を呼んでこい”と命令した。

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「＿＿＿これは“記憶喪失”ですね。」

「記憶、喪失……」

「嘘だろ……なんでAが……」

記憶喪失、か。
私もそう思っていた。このふたりは私を知っているようだし、自分の名前以外思い出せない。

「まさか、奴らか？」

「ふ、降谷さん、それって……」

降谷さん？という人物は小さく“ジンとウォッカ……”
と呟いた。

すると頭がズキッと傷んだ。