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不眠な意地悪メイドさん ページ5

夜になる。星屑どもが最も煌く時間帯。
星達が不規則に夜を泳ぐ。

あの冷え性女が遊んでるんだろう。冷えるぞ、馬鹿め

そう言いながらは窓にもたれ、瓶を外へ放り投げた。ラベルには「ラベンダー・アロマ」と記されている。

薄い紫色の瓶は、地面に落とされ香りを撒き散らしながら破片となっていった。

嫌な甘すぎる香りを撒いた中の水も、地に吸い取られて無くなった。

その様子に舌打ちをしながら窓を閉じる。

夜風に当たれば眠気も来るかと浅い希望で開けたものの、全く眠くない。

久々に鏡を除けば、青白い肌と黒いクマが目立つ。
お世辞にも可愛いとは言えない。(可愛い)

(そーだ、あの姫に悪戯でもしてやろう。あの冷え性女でもいいかもしれん。)

姫とあのステラを天秤に掛け、屋根まで行くのがめんどいという理由で姫にした。

銀色のナイフを手の中でくるくる回し、瞬時にドア付近に投げる。

トンッといい音を出してナイフは刺さった。

「的でもあれば最高なんだけど」

そうぼやくとクロは立ち上がり、ドアを開けた。そして助走を付けて跳ねた。

クロの部屋と姫の部屋は壁を一枚挟んでいる。

姫の部屋、通路、壁、通路、クロの部屋といった感じなのだ。

北側に遠回りすると渡り廊下があるが、遠回りするのはクロの性に合わない。

つまり、クロはダクトを使って行こうとしているのだ。

(どーせドアから入ったらバレるでしょ)

そのまま、なるべく服が汚れないように進む。
と言っても、隅々まで掃除されていて埃などほんの少しだったが。

五分程経つと、姫の部屋が見えてきた。

こんな夜更けにもかかわらず、姫はまだ寝ていなかった。

(げっ、まだ起きてるじゃん…。こりゃ出直すか…?いーや行けるね!この鼠花火なんて放り込んだら…ぁぁあーさいこぉ!)

クロは頰を両手で抑え、マッチを探し始めた。その時だった。

ガチャン!

何かが割れた音がした。

レアリアはきゅっと目を瞑る。避けられない痛みが来…る…と思ったが、痛みは来なかった。

思わずクロはダクトから飛び出し、レアリアを退かしていた。

「あ、れ。昼間のクロさん?もうお休みの時間ですよ?」

「…別に理由は……」

クロが言い淀むと姫抱きにされたレアリアが、胸でロザリオを握りしめたまま言った。

「もしかして、寝れないんですか?」

おやすみ、いい夢を。→←冷えた星にはジンジャークッキー



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作者名:蜂蜜流星群 | 作成日時:2020年8月1日 10時

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