【国見英】morendo

４８小節目 国見side ページ48

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彼女の目からは涙が溢れていた。





Aさんが泣いているところを

見るのは初めてだった。



きっと誰にも見られないように

こっそり泣いた事が

何度も何度もあっただろう。





どれだけ辛かっただろうか。


どれだけ苦しかっただろうか。









俺はAさんを抱きしめた。





俺を苦しめてしまう？

そんな事あるはずがない



どうしてあなたはいつもそうやって

俺の事ばかり考えるんだ。


どうして余命が僅かしかない

自分の事を考えないんだ。





俺は今こうして

あなたを抱きしめていられるだけで



それだけで幸せなんだ。









気が付くとAさんは

俺の胸の中で眠っていた。



彼女の綺麗な雫が頬を伝っており

俺はそれを拭った。









それは、儚く美しく


まるで宝石のように輝いていた。





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