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朝なのに、街を行く人たちは日傘をさしたり、タオルで吹き出す汗を拭っていた。
そういえば、朝から元気の無いアナウンサーが気だるそうに今年1番の真夏日になるだろうと言ってたっけ
出発前、冷蔵庫の中にあったあいつの好きな炭酸ジュースを取った。
苦手な炭酸を口の中いっぱいに含み、無理やり飲み込むと、喉の奥がバチバチと弾ける感覚がしばらく残っていた。
道路上の逃げ水や陽炎は見るだけでいっそう暑くさせた
横断歩道を渡りきるとあいつの背中が見え、
無意識のうちに駆け寄っていた
「おはよっ!」
「あ、おはよ お前朝から元気よすぎな」
「しょーたが無さすぎなだけー」
「ねぇ、リップの色変えた?」
こんな友達でも気づかないようなことを気づいて、さらって言ってくれるなんて。
甘い声と横顔に胸がキューっとなった。
人はこれを恋と呼ぶらしい。
「うん変えた」
この気持ちがバレないように、平静を装った。
「似合ってる?」
いつの間にか私の頭を追い越したしょーたの顔を見上げた。
しょーたが何か言おうと口を開いた時、後ろから
おはよと友達が声をかけてきた。
「ねぇ数学の課題終わってる? 」
「うん 終わってるよ 」
「え!見せて!お願い!!」
「わかった 休み時間ね」
友達はありがとうと元気よく言って走り去った。
今、私としょーた、いい感じだったのに
「汚い字で書いてあるだけなのに笑」
「何よそれ しょーたより何倍も綺麗ですー」
いつもこう。
あ、好きだなって思っても、あたしたちいい感じだなって思っても何かが遮る。
そして、思ってない事を口にしてしまう。
「はいはい あ、俺今日部活休みだから靴箱集合な」
「うそ!じゃあさ、駅前のスイーツ屋さん寄ろうよ」
「わかった んじゃ」
「うん!ばいばい」
しょーたが仲良く喋れる人の中で女子は私だけだったり、部活がないからと一緒に帰ってくれる所、同じ気持ちなのかなって思っちゃうよね
教室に入って、さっきの炭酸を開けた。
プシュッと音が舞って消えた。
やっぱりシュワシュワと体の中で弾ける。
少し胸が苦しくなって、目をぎゅっと瞑った。
少し炭酸が抜けてただの甘い水になりかけていた。
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いのきのこ(プロフ) - 、さん ご指摘ありがとうございます、初心者なので…すみません(><) (2020年1月20日 6時) (レス) id: a27e8ef6d1 (このIDを非表示/違反報告)
いのきのこ(プロフ) - Miraiさん、ありがとうございます!! (2020年1月20日 5時) (レス) id: a27e8ef6d1 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグくらいちゃんと外して下さい (2020年1月20日 5時) (レス) id: aead4a2b5b (このIDを非表示/違反報告)
Mirai(プロフ) - 面白いです!続き書いてください! (2020年1月19日 22時) (レス) id: c766826a6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いのきのこ | 作成日時:2020年1月19日 0時