私の居場所はあるの? 〜second〜

あけましておめでとうございます ページ46

私は歌い終わった瞬間、
頬に何かついていることが分かった
･･･涙だ
拭いても拭いても流れてくる厄介者だ
こういうときは、感情にまかせ、
思いっきり泣くのがいいのだ

･･･私は声をあげて泣いた

どうして泣いたかはわからない
でも泣きたくなった･･･
いや、胸の奥にじわじわと広がる
スースーした感覚は、前にも体験した

初めては“義理の母親”がｺﾛされて
チヒロお姉ちゃんと離れたとき
2回目は孤児院が燃やされたとき
3回目は･･･チヒロお姉ちゃんがｺﾛされたとき

そう･･･寂しさだ
何が寂しいのだろう
家に帰れるかもしれないのに
何がそんなに私を定着させたのだろう
･･･涙が落ち着いて時計を見てみる
23:59 45
思わず苦笑いしてしまった
なんて都合のいいときに見たのだろう
私は空をまた見上げ、カウントダウンを始めた
10…9…8…7…6…5…4…3…2…1…

「ゼロ」

私が振り返ると、
いつもと同じ格好の“あの人”が
頭の後ろで手を組んで笑っていた
「こんなんじゃ風邪ひくぞ〜」
そう言ってにししと笑った“あの人”は、
私の隣に同じように座った
「･･･お前が何を悩んでいるのか、
　何を企んでいるのか、オレは何も知らない。
　だけどお前はオレが雇った店員だ
　きちんと悩みを聞いて店員を元気にするのも
　店長としての役割だとオレは思ってる
　だからさ･･･
　1人で悩むなよ
　オレに話せなくたって、エリザベスや
　ホークだっているだろ

　お願いだから1人になろうとしないでくれ」

最後の言葉はとても儚く、
消えてしまいそうな声だった
私は1年前･･･
“あの人”と初めて合った
たった1年しか関わっていないのに
どうしてそんなに優しいの?
私は“あの人”の顔を見る
“あの人”の瞳を見たら目が離せなくなった
深い悲しみの色、迷いの色･･･
そんな感情が綺麗な翡翠色の瞳の曇らせていた
“あの人”はそれを振り払おうとするかのように
頭を小さく振り、いつものお得意の
ポーカーフェイスで笑いながらいった
「あけましておめでとう!!
　特製おせちを作ったから
　食べてくれよ!!」
･･･その瞳には、
まだ少し深い悲しみが残っていた

駄!!作者から･･･→←あけましておめでとうございます！

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す