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「Aちゃん!これおまけだよ、もってきな!」


「!ありがとう、おじさん」





あの拾われた日から4年が経った今、Aは何不自由なく暮らしていた。


衣食住に困ることもなく、あの村のように自分を迫害しようとする者もいない。むしろ皆に良くしてもらい、Aは気付いていないが街一番の美人として知られている。


Aにとってなんとも生きやすく心地のいい場所であろうか。ちなみに自分の生活費は持っていたものを換金した。詠は要らないと言ったが元より使い道もないので食費だけでもと使ってもらっている。





「ただいま戻りました」


「ああ、おかえりなさい。今日も....沢山貰ってきたのですね」


「なんか、いつも下さるんです」





詠はAの持っていてる荷物を見て思わず微笑ましくなった。


今日の晩御飯は天ぷらと言っていたのに袋の中には普通よりどう考えても多い野菜や大福が入っていた。性格上彼女は必要以上に買うタイプではない。つまり“今日も”市場の方々に軽く貢がれたのだ。


ちなみにAは大福に目がなくとても嬉しそうにしている。それを見たくて上げる年頃の男の子も少なくはない。





「....A」


「?はい、どうなさいましたか?」


「Aも10になりましたし、君に話しておきたいことがあるんです。」





詠は大福を至福そうに食べているAに真剣な顔で向き合った。いつもニコニコ笑っている詠のこういう顔は中々見ない。彼女は只事ではないことを察し大福を置いて姿勢を伸ばした。





「君は、両親を殺されてしまったのですよね」


「はい、今でも鮮明に覚えています。

生気のない目に内蔵のでた腹、所々噛みちぎられたかのような手足、紅く染まった着物。忘れることなど出来ません。」





淡々と、両親の死に姿を述べる彼女を見たら大半の人が顔を顰めるであろう。


何故そんなにもあっさりと言えてしまうのか、両親を好いていたのに何故と。しかし彼女にとって想いと事実は別だ。確かに両親を心の底から愛してはいたがあの日見た光景を忘れることなど出来はしない。愛していたからこそ最後にみる両親を目に焼き付けてしまったのだ。


今でも両親との幸せな日々とあの日の残酷な姿は脳裏に焼き付いている。





「それはきっと“鬼”に食べられてしまったのでしょう。」

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設定タグ:鬼滅の刃 , 愛され   
作品ジャンル:アニメ
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Lotus(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです^^* ご期待に応えられるように精進してまいりますのでよろしくお願いします! (2019年11月17日 20時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - とっても素敵な作品ですね!!応援しています!!更新頑張ってください!! (2019年11月17日 19時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
Lotus(プロフ) - すンずさん» わあー!ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです(*´`*) これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - とても面白いです!!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年11月8日 20時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
Lotus(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます....!!!!急に消えたのに探していただいて有難いです!!!期待に応えられるよう精進してまいりますのでよろしくお願いします! (2019年10月27日 22時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Lotus | 作成日時:2019年10月23日 20時

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