夜の使者【鬼滅の刃】

参拾参 二匹の狐 ページ37

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｢気に入った、お前を鬼にしてやろう｣



｢........それで、晶稔は助かるのか｣



先程よりも強く晶稔を抱き締める。この男の言ってる鬼とは何か分からないが晶稔が助かるのであれば何であろうと厭わない。






｢無論だ｣



｢............分かった、鬼とやらになろう｣






男は2人の前にしゃがむと血のついた尖った爪を晶稔の首に刺し、自分の手首を切って垂れた血を高麗の手のひらに零した。




晶稔が若干苦しがり暴れたが落ち着き、驚いたことになかったはずの足と潰れた左目が再生していた。



鬼とは“化け物”であったようだ。






｢飲め｣



｢....何故晶稔と同じ方法で鬼にしない｣



｢お前は自分の意思で鬼となれ。代わりに何か一つ望みを叶えてやろう｣






にやりと笑い血を垂らす男は高麗の答えを待っていた。何か一つとは言ったが何でもとは言っていない、気に入らなかったら殺せばいいし結局は気分次第なんだろう。




どうせ鬼となったら記憶の大部分は消えてしまうんだろうから。






｢....俺は晶稔と一緒に居れたらそれでいい。それ以外は何もいらない｣



｢ほう｣






同じようなことを言ったやつが以前にもいたなと男は思い出す、確か上弦の妓夫太郎だ。あの二人も兄妹共にそうでなければ鬼にならないと上弦の弐のやつに言ったようだ。




良い、何かに執着する奴は強くなる傾向にある、非常に良い。





高麗は手のひらの血を一気に飲み干した。生臭くて鉄臭い、ただの血を飲んだだけで何も起こらない。




と思った矢先、喉が焼けるように熱くなり全身が激痛に襲われる。痛い痛い、痛い！！身体の中に何か入ってぐちゃぐちゃに掻き回されているような気分だ。






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《大正コソコソ噂話》


男、つまり鬼舞辻は高麗のことを気に入っていますが晶稔のことはどうでもいいです。高麗のおまけ程度にしか思ってないでしょうね

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