夜の使者【鬼滅の刃】

拾参 ページ16

｢叶うことならお前さんを守る刀であってくれと願っているよ｣


｢....きっと、沢山の人を救う刀としてみせます。｣






白い手に握りしめられた刀はこれから何人もの命を救う。刃こぼれし、時には折れることもあるだろうが何度でも彼女の懐に居続けるであろう。例えその刀身が血を吸い染まろうとも美しい刀であり続ける。そうなるのはもう少し先の話。






｢伝令ｪ!!伝令ｪ!! 最初ノ任務デアル!

東北東ノ町ニ鬼ガ出没! 夜ナ夜ナ女性ガ消エルｩ!!

至急向カウベシ!! 神田A向カウベシ!!｣






すると玄関からカラスが入りAの頭の上を回っている。首に赤と白の紐を後ろで蝶々結びされてるその鴉はAの鎹鴉だ。


最終選別の最終日、Aは陽光山の鉱石を選び隊服と鎹鴉を支給された。指令を知らせる鴉はとても有能でAの鴉は伝令を伝える時以外は静かで擦り寄ってくる姿がとても可愛らしいらしい。


ちなみに隊服の下は袴のようにしてもらったそうだ。






｢行かないと、いけませんね....｣


｢A、なんて暗い顔をしているんですか。

この家は君の家でもあるんです。いつでも帰ってきていいんですよ｣






分かっていても詠と離れてしまうのは寂しい。実の娘のように接してくれた詠の隣はなんと居心地のよいことか。だからこそ詠に恩返しせねばならない、貰い受けたものを繋がねばならない。






｢ｯはい....!行ってきます....!｣


｢はい、行ってらっしゃい｣






隊服を着て刀を“2本”差したAに詠は羽織をかける。その姿は当時の詠に瓜二つだ。


詠は当時二刀流であった為にいつも懐には2本の刀があったがAは違う。所謂御守り的役目程度に思っている。


詠を真似して伸ばした髪に詠の紐を付けたらその場にあの時の詠がいるようだと黒鋼は感じた。どこまでいっても彼等は師弟なのだと思い知らされるのであった。




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《大正コソコソ噂話》

Aは動物が大好きです。犬でも猫でも鳥でも皆彼女の所へ群がります。度々モコモコに埋もれてるAが発見されるのだとか。

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