拾壱 ページ14
「ごめんくださ〜い」
今日もやはり日課の鍛錬をこなしているとなにやら玄関から気だるそうな声が響く。声的に20代後半だろうか、ひょっとこのお面を付けた背が高めの男性がAを探していた。
何故ひょっとこ??
「ん〜?君が神田Aか〜い?」
「あっ、はい」
「お〜、別嬪さんだこと。なに、お前さんのところは師弟揃って世の宝なの?」
「相変わらず口が達者で。君がAの担当になるとは、何かの縁でしょうかね」
後ろから詠がこちらに歩き、ひょっとこの男性にくだけて話す。本気で怒った時以外、常に敬語で話す詠だが人によって若干の抑揚がある。彼との話し方はAと話す時にかなり近い。
「ああ、どうも〜、俺は黒鋼。お前さんの刀を打たせてもらった者だよ」
「!色変わりの刀....!!」
「おお〜、知ってるのかい。じゃあ早速見てみようかねえ〜」
背中に背負っていた紫苑色の布に包まれているものを取り出した。ご丁寧に絹の布だ、こんな高価なものを刀に使うなど考えられない。それは唯一の鬼の武器となる“日輪刀”だからなのか。
「あっ....鍔が月だ....綺麗....」
「それはねえ、詠が頼んだものなんでな、“Aの瞳は月のように美しいから鍔は是非、月の形にしてくれ”ってな。」
金に輝く上品な鍔は綺麗な細工が施された特注品だ。中に空いた小さな穴々に蒼い硝子が埋め込まれ、夜の月光でのみ反射する。太陽の強い光では霞んでしまうが月の光には美しくその刀を彩る。
詠が直々に発注した正真正銘のAの鍔だ。金の瞳が嫌にならないように考えた結果である。
「さあさあ、早く刀身を俺に見せてくれ、君の刀身はさぞかし綺麗なんだろう、さあ俺にあの美しい刀身になる瞬間を見せてくれ。」
「えっえっ」
刀身の話しになった瞬間饒舌になる。先程までの気だるそうに話し、やたらと語尾を伸ばす彼はどこへ行ったのか。
彼女はかなり戸惑う。こういう人種と関わったことがないのだから。Aはとりあえず刀身を見ようと鞘から出す。
「わっ....夜空一面の星空だ.....」
鞘から出した刀身はみるみるうちに色を変えていく。例えるならそれは満点の星空。星が散りばめられたその空はいつ見ても不動の美しさがあるようにその刀身は一種の芸術ともとれる。
まさか鞘の中から夜が出てくるとは予想もしてなかった。
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Lotus(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです^^* ご期待に応えられるように精進してまいりますのでよろしくお願いします! (2019年11月17日 20時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - とっても素敵な作品ですね!!応援しています!!更新頑張ってください!! (2019年11月17日 19時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
Lotus(プロフ) - すンずさん» わあー!ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです(*´`*) これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - とても面白いです!!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年11月8日 20時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
Lotus(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます....!!!!急に消えたのに探していただいて有難いです!!!期待に応えられるよう精進してまいりますのでよろしくお願いします! (2019年10月27日 22時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lotus | 作成日時:2019年10月23日 20時