拾 ページ13
街の中を上機嫌で歩く少女がいた。その足取りは軽くステップをふみ鼻歌を歌っている。
久しぶりに会う少女のその姿に街の人は驚き相変わらず甘味やらを与えながら手を振った。彼女が分かりやすく笑うなど始めて見たのだ。
「....ただいま、詠さん、」
「....!!!!おかえりなさい、A」
部屋の中を行ったり来たり、明らかにそわそわしている詠の姿に微笑んだ。娘のように育てたAを心配しないわけがない。
その中、Aは少し照れながらも一言言い中に入っていった。自分の帰る場所であるこの家に“ただいま”と。
詠は花が咲いたかのように笑いAに駆け寄った。怪我がないか確認するかのようにぺたぺた触り、力強く抱きしめた。
「よかった、本当によかった。帰ってきてくれて本当にありがとう....!!」
「何言ってるんです、私は詠さんの継子ですよ?何度でもこの家に帰ってきます」
Aは同じくらい強く抱き締め返す。この胸の温かさを彼女は知っている、紛れもない“家族”の温かさだ。
両親を無くし、一人孤独になってしまったが彼女は詠と出会った。それは彼女の人生を、世界を後に大きく変えるものであった。
だが彼らはそれを知らない。ただ今この幸福を忘れないようにと、そしてその幸福ができるだけ長く続いて欲しいと願っているだけだ。
「温かいご飯を食べましょう。Aが大好きな大福も沢山用意したんですよ」
「!大福....!!!」
目を輝かせ嬉しそうにしている姿を見て用意した甲斐が有ったと詠もまた喜んだ。
Aが無事に帰って来れるようにと願掛けで用意したものだったが無駄にならなかったようでなによりと心から安堵した。
「僕の可愛いお月様」
愛おしそうに見つめるその目は母がたとえ憎まれようと自分の子供を無償に愛するかのように慈愛に満ちていたのであった。
+・+・+・+
《大正コソコソ噂話》
詠はAが帰ってくるまでずっとソワソワしてました。街の人も普段穏やかで動揺を見てたことの無い詠のその姿にはかなり驚いたそうな。
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Lotus(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです^^* ご期待に応えられるように精進してまいりますのでよろしくお願いします! (2019年11月17日 20時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - とっても素敵な作品ですね!!応援しています!!更新頑張ってください!! (2019年11月17日 19時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
Lotus(プロフ) - すンずさん» わあー!ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです(*´`*) これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - とても面白いです!!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年11月8日 20時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
Lotus(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます....!!!!急に消えたのに探していただいて有難いです!!!期待に応えられるよう精進してまいりますのでよろしくお願いします! (2019年10月27日 22時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lotus | 作成日時:2019年10月23日 20時