壱 ページ4
「....冷たいなあ」
一面真っ白な雪の中少女は呟く。
何里歩いたのだろうか、休まず雪の中歩き続けもはや足の感覚すらない。身体の末端は赤く、黒く変色し凍傷になるのも時間の問題だ。意識が薄れていく、意外と穏やかに死ねるらしい。
彼女は逃げていた。
ある小さな村でそこそこ豊かに過ごしていたが、両親が何者かにぐちゃぐちゃに殺されてしまった。まだ6つの子供に親の死体を見せる村人達もおかしなものである。それもそうだ、村人達は彼女を追い出したかったのだから。
金の瞳を持った彼女を村人達は気味悪がった。忌み子であると嫌悪したが両親は彼女を非常に可愛がり愛情を注いで我が子を育てた。周りの声など気にせず彼女の金の瞳も「お月様のようで綺麗だねえ」と常に言葉にし、彼女もむしろ誇りに思っている。しかし、両親がいなくなり村人達は一斉に追い込み村を追い出そうとした。
彼女は早々に金目の物と両親の遺品だけもち去って人目つかぬ間に出ていったのだ。ついでに金になりそうなものをふんだくろうとした村人達はもぬけの殻となった家を見てガッカリしたのだとか。6つの子供がこんなに賢いとは思っていなかったのだろう。
「....??」
目を覚ました時見知らぬ景色に疑問に思う。意識がなくなる前、確かに雪の中であったが今は床の上に寝ている。パチパチと弾ける音を立てる炭が暖かい。
「おや、目が覚めましたか」
襖から翠色の瞳に少し黄色の混ざった長い白髪を結い、夜空を連想させる羽織を来た男性が入ってきた。
言動から穏やかそうな人だと想像でき、周りにお花でも咲いているのかと思った程だ。顔も女性が見たら発狂しそうな程綺麗で、顔だけでも生きていけるのではないだろうか。
「歩いていたら雪の中にこんなに可愛らしい方がいたので一瞬妖精かと思いましたよ」
男性が持っていたのは作りたてであろうお粥とみかんであった。自分の手足には包帯が巻かれていてきっと彼が巻いてくれたのであろう。怪我をしていた訳では無い、痛みもない。包帯を巻かれているということは見ない方がいいだろう、変色しかけた自分の体など見たくはない。
「....この目が、気持ち悪くないんですか?」
「?そうかい?僕は綺麗だと思うんですけど....ああ、そうだ、まるで“月みたい”」
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Lotus(プロフ) - 黒豆粉さん» ありがとうございます!そう言っていただけると嬉しいです^^* ご期待に応えられるように精進してまいりますのでよろしくお願いします! (2019年11月17日 20時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
黒豆粉 - とっても素敵な作品ですね!!応援しています!!更新頑張ってください!! (2019年11月17日 19時) (レス) id: a216a85358 (このIDを非表示/違反報告)
Lotus(プロフ) - すンずさん» わあー!ありがとうございます!そう言って頂けると嬉しいです(*´`*) これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
すンず - とても面白いです!!更新頑張って下さい!応援しています! (2019年11月8日 20時) (レス) id: 6823c0d55a (このIDを非表示/違反報告)
Lotus(プロフ) - シオンさん» ありがとうございます....!!!!急に消えたのに探していただいて有難いです!!!期待に応えられるよう精進してまいりますのでよろしくお願いします! (2019年10月27日 22時) (レス) id: 0657cdb7e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lotus | 作成日時:2019年10月23日 20時