夜の使者【鬼滅の刃】

捌 ページ11

｢何人目だろ、これ｣






Aは怪我ひとつなく鬼を葬る。


最終選別に参加して6日目、彼女は難なく過ごしていた。詠の鍛錬をこなした彼女からしたら雑魚鬼など呼吸法を使うまでもない。


しかし、油断は一切しない。一つの綻びが災いを呼ぶのだから。






｢女がひとりぃ！！運がいいぜえ！！｣


｢うーん.....油断も慢心もしないけど、流石にこうも全員分かりやすいと拍子抜けかな....｣






後ろから襲ってくる鬼を振り向くことなく斬る。殺気がただ漏れでたとえ目をつぶっていても斬ることは可能であろう。


これは選別、強い鬼がいては経験のない者は死んでしまい隊員は増えない。すなわち雑魚鬼であることは分かりきっていたが些か張合いがない。






｢！！｣






すると視界の奥で折れた刀を持ち、それでも逃げまいとしている宍色の髪をした少年が見えた。


対峙している鬼は今までような雑魚鬼ではない、異様な姿をしていた。何故、勝ち目がないのに逃げないのかと思ったら少年の後ろには足がすくみ立てずにいる腕が血だらけの少年が見える。


庇っているのだと分かると足は勝手に動いた、あの少年は死んではいけない、身を呈して戦う人材を無下にしてはいけない。






｢ｯ、｣


｢！！何故きた！早く後ろの奴を連れて早く逃げろ！！｣


｢刀のない人は黙っててください....!!!!｣


｢ｯ!!｣






切りかかろうとした鬼の手を間一髪で斬り落とし体を回転する。無理やり体を動かした為無駄な動作をしてしまった。


先程から宍色の少年ばかりを狙っている、何か執着でもあるのだろうか。


ならばここは倒すより彼を引き離す方がいいであろうと判断し腰をぬかしている少年を脇に、宍色少年の首根っこを持ってその場から離れる。 さすがに重い。




+・+・+・+

《大正コソコソ噂話》
Aは殺気を察知するのが非常に優れています。数百ｍ先からでも察知出来るそうですよ。


幼少時代、村人から蔑まれていた為だと思われます。

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