ワケあり王女ー7ー (ページ10)

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そのままみんなとお喋りしていると。

『貴方たちいつまで部屋にいるの？』

イケメンに変装した聖夜がようやく部屋から出てきた。

その姿を見た瞬間、わいわい騒いでいた生徒会メンバーが再び沈黙する。

聖夜はみんなからの注目など気にもせずに優雅にソファに座って紅茶を飲み始めた。

「いや、クオリティ高すぎだろ･･･」

綾が呆然としたように呟いたことで再び部屋が呼吸をし始める。

「これで声も変えてるんでしょ？大変だね･･･」

『男装よりも理事長の世話役やってるほうが大変よ』

「あぁ･･･そうかもね」

陽平は感心したような顔から、一気に同情した顔に変わる。

その言葉を聞いた昴はものすごく申し訳なさそうな顔をしていた。

その様子を眺めていると、ポケットに入れてあったピンクの携帯が震えた。

着信の相手は例に洩れずXだ。

「もしもし？」

「華月嬢。そろそろ荷物を持って集合せんと置いていくぞ」

「え!?はい、すぐ行きます！」

ピ、と通話終了のボタンを押す。

そのままの勢いで、私は口を開いた。

「みんなもう集合時間よ！早く自分の部屋に荷物取りに行って！」

面倒くさそうな態度で素早く動こうとしない2年組を部屋から追い出し、荷物を持って、スイートルームの扉を閉める。

鍵がかかったのを確認して、３人でエレベーターをめざした。

困ったことになったのは、海に着いてから。

辿り着いた海は今まで見たどこの海よりきれいで。

天候も良好で、暑くはないけれど水着の上に上着を羽織れば気温は全然大丈夫そうだ。

そして今現在。

理事長に渡されていたショップ袋を持って更衣室にいるのだけれど。

「な、ん･･･っ」

いや、まさか。でもコレしか袋に入ってないし。

外では綾達が待ってくれてるから早く着替えなきゃいけないし。いや、でも。

結局。

最終的にはどうせ着ることになるんだと自分に言い聞かせて水着に着替えた。

「お、お待たせ･･･」

消え入りそうな声で生徒会メンバーに声をかける。

「遅ぇ、」

きっと暴言を吐きかけたのであろう綾の言葉が途切れる。

というか、全員の動きが止まる。

『･･･これ、着てて』

輝がすっと近づいてきて上着を羽織らせてくれる。

ありがたく着させてもらった。

そんな輝は昨日と同じスーツ姿。

海に入らなくていいというのが心底羨ましい。