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「華月嬢、天宮嬢、吉良の坊」
呼ばれたことで私達の顔から血の気が引く。
「･･･バレたの」
「っいや、ちょっと待ってくださいっ」
「僕らのせいじゃないじゃんー！昨日からすごく頑張ってたんだよー！」
『理事長が連れてこなければ、絶対バレませんでした』
必死。理事長からの罰ゲームを回避しようと必死だ。
そんな私達を嘲笑うかのように、彼女は楽しげに口角を上げた。
だらだらと冷や汗を流す1年組。
そんな私達を憐れむように見つめる２年組。
そして彼女の放った言葉は。
「罰ゲーム、だの」
「「『!!!』」」
冗談じゃない、私たちは何もしてないのに。
「今日の宿は旅館での」
「･･････」
「そこでぬしらにもいい部屋を用意しておいたのだが」
「･･････」
「この４人の部屋に泊めてもらえ。それが罰ゲームじゃ」
『え？』
呆気に取られながらも隣に座る２人の表情を窺う。
２人の口もぽかんと半開きになっていた。
「あの」
「なんじゃ華月嬢」
「それだけ、ですか？」
「そうだが？」
･･･よかった。それなら全然いい。
瞳は皆と話したがっていたし、とても嬉しそうだ。
「では、そろそろ準備にかかってくれ。ぬしらが修学旅行に参加している理由はわしから４人に伝えておく」
あっさりとその話は終わった。
理事長に言われた通り、そろそろ支度をしなければいけない時間なので、私達はそれぞれ部屋に戻る。
男装は別にいいけど、男声にするのが疲れる･･･。
＜瞳side＞
キャサリンへの変装を済ませて、リビングへと続く扉を開けば。
「ぎゃっはっは！おっ、お前優斗！もうずっとその格好でいろよ！絶対モテるぞ！」
指を差しながらげらげらと優斗の姿を笑っている綾の姿が飛び込んできた。
そして笑っているのは綾だけかと思いきや、他の３人も笑いをかみころしている。
どうやら聖夜はまだ戻ってきていないようだ。
「綾、そんなに笑っちゃ優斗が可哀想でしょ」
「いやこれは誰だって笑う、って、お前･･･」
私の姿を見た綾が、ぴたりと笑うのをやめる。
絶対これ以上ないってくらい笑われると思ってたのに。
「何よその顔。私がこの格好してたってもう聞いたでしょ？」
「つ〜か嬢。その刺激的なボディラインはどうやって作ってんの？」
「ん？偽物が入ってるにきまってるでしょ」
あ、待って。今、自分で言ってちょっと悲しくなった。
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作者名：聖夜 | 作成日時：2022年8月27日 0時
