検索窓
今日:6 hit、昨日:15 hit、合計:3,186 hit

308 ページ8

秋山とこんなに近い距離になるのは、あの夜以来なかったから。

突然の子の近さに再び思考が停止する。


「なんつ〜顔させてるんだよお兄さん」

「うるさい。見るな、離せ」

「まぁ確かにこの顔はソソるな〜」


くつくつ、と喉で笑う秋山。

なんでもいいから放してほしい。


「さて、本気でキレられても対処に困るし、そろそろ放しましょうかねぇ」


ぱっと、身体が解放される。

キレられるってなんだ。


「それじゃあ」


少し開いた距離の中で、秋山が私を見下ろす。

すっと目を細めて、何を言うのかと思いきや。


「ここにいる理由、あっちであの2人と一緒に教えてもらいましょ〜か?お嬢さん」


・・・忘れてた。

てか、そもそも何でこの人たちはここにいるんだ。

この人たちが部屋に来さえしなければ、絶対バレないはずだったのに。

そんなことを思いながら3人でリビングに向かえば。

顔を青くして座っている瞳と吉良。

と、その向かいのソファーに腰掛けている藤城と岬。

やっぱり扉を開いた瞬間に見えたものは幻じゃなかったらしい。

しっかり全員集合してしまってるらしい。


「聖夜ちゃん・・・」


絞りだされる吉良の声が痛々しいけれど、それを救ってあげられる術を私は持っていない。

私も今からここで4人から集中攻撃を受ける身なのだから。


「さて」


岬がぽつりと零した一言に、瞳と吉良の肩がわかりやすく飛び上がる。


「どうして沖縄にいるのかな?3人とも」


面白がっているのか、怒っているのか。

曖昧な声色すぎて見当がつかない。

どうしてと聞かれても、理事長に言われて来ただけだし。

そもそもみんながこの部屋にいる理由のほうが気になる。

その疑問を持ったのは私だけではないようで。


「あのー・・・。その前にみんな、どうしてこの部屋に?」


おずおずと聞いた吉良の言葉に、暁はわかりやすく眉を顰めた。


「それは、」


説明しようとした暁の言葉を遮るように、バタンと部屋の扉が開く。

颯爽と部屋に姿を現したのは。


「おぉ、やはりここにおったか」


着流し姿の理事長だった。


「・・・どういうことだ、ババァ」

「それはわしのセリフじゃ。フロントに預けてある荷物を届けに来いと言うたであろ」

「スイートルームにっつっただろ」

「『ロイヤルスイート』じゃ阿呆め」

「スイートルームにっつっただろババァ」


低い暁の声に飄々と答える理事長。

え、てかそんな伝達ミスで今の状況が出来上がってるの・・・?

309→←307



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (15 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
56人がお気に入り
設定タグ:ワケあり生徒会
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:聖夜 | 作成日時:2022年8月27日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。