ワケあり王女ー7ー (ページ6)

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306《修学旅行、2日目前半》ページ6

《聖夜side》

真っ白なシーツに包まれた状態で目が覚める。

時計を確認すれば朝の5時30分。

あと30分もすれば、理事長の御付きの人が準備をしに来てくれる。

なんとかベッドから起き上がり、顔を洗い、リビングに行く。

「あー。おはよう聖夜ちゃんー」

「聖夜、おはよう」

『･･･おはよう』

そこにはもう2人が起きてきていた。

ソファーに座り、眠い頭のままボーっとしていると。

ピンポーン、と。

スイートルームにベルの音が響き渡った。

少し時間は早いけれど、御付きの人が来てくれたんだろう。

『御付きの人だろうし、私が出てくるわね』

一応、理事長の御付きの人達とは顔合わせをしているし、ここは私が出るのが妥当だろう。

ソファーから立ち上がって、2人に声をかける。

2人ともりんごジュースを飲みながら、「よろしくー」と声を上げていた。

リビングを抜けて、扉の前に立つ。

がちゃっと。疑いもせず開ければ。

『おはようございま、』

出しかけた言葉を吞み込んだ。

そしてバタンと扉を閉める。

そんな私に気づいた吉良が近づいてきて、一言。

「どうしたのー？」

『いや･･･うん･･･』

混乱。

「あれ、御付きの人は来てないの？」

そうしているうちに異変に気付いたのか、瞳も近づいてきた。

『落ち着くから待って』

「うんー？」

「本当にどうしたの？」

不思議そうに2人は揃って首を傾げているけれど。

今はとてもじゃないけど説明できない。

すぅ、はぁ。深呼吸を繰り返していれば。

ピーンポーンと。また一度だけベルが鳴った。

･･･怖い。まだ連打とかしてくれた方がいいのに。単調に一回だけ鳴らすとかしないでほしい。逆に怖すぎるから･･･。

『吉良、瞳』

「んー？」

「なぁに？」

『一生のお願いがあるの。どっちでもいいから2人が出て』

「？別にいいけどー？」

「じゃあ、2人で開ける？」

よし。

その言葉を聞いて私はダッシュで寝室に向かう。

ごめんね2人共。あなた達の犠牲は無駄にはしないわ。

そしてバタン！と寝室の扉を閉めて、私はベッドに潜り込んだ。するとその数秒後。

「「きゃーーーーーー！！」」

絶叫する2人の声。

『･･････』

寝よう。きっと夢だ。

寝たら醒めるはず。

自己暗示をかけながらぎゅっと目を閉じていれば。

ガン！っと。すごい勢いで扉の開く音が聞こえた。