ワケあり王女ー7ー (ページ4)

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「全テーブル6人用だってよ〜。もうこのメンバーでいいんじゃねぇ？」

どうしてそんなテーブルを用意したんですか理事長。

普段ならこのメンバーで食事でもなんの文句もないけど、キャサリンとしては全然楽しくない。

目の前にはたくさんの料理が並べられているけれど。

「ちょ、おいカナ！俺の皿に野菜盛るんじゃねーよ！」

「オメー俺が盛らなきゃ肉のオンパレードでしょうに。鶏肉豚肉牛肉って、どんだけ肉食やぁ気ぃ済むんだよ～」

「俺は肉食なんだよ！」

…心底どうでもいい。

綾が肉食だろうとなんだろうとどうでもいい。

そして澄ました顔で優雅にフォークを口に運んでいる昴と陽平が心底羨ましい。

私、修学旅行に参加してから理事長と優斗と聖夜と綾の4人としか会話してないんだけど。

「ふぅ…」

つい溜め息が漏れる。

これなら普通に学校に行ってる方がいい。

『お食事中失礼いたします』

「っ！」

突然後ろから声をかけられ、驚いて振り向く。

そこには輝が立っていた。

相変わらず完璧な男声である。一体どうやって声を変えているんだろうか。

というか、理事長の執事(一応)がいったい何の用事だ？

不思議に思って見つめていれば、目が合い、輝は英語で話しかけてきた。

『キャサリン先生、大変申し訳ありませんが、理事長からの伝言です。今から５分以内に部屋に来いとのことです』

…は！？

輝が桃華に日本語で同じ説明をしているのを横目にガタッと立ち上がる。

同じように慌てて立ち上がった桃華の腕を引っ張って走り出す。

忙しなく乗り込んだ密室の昇降機の中は、重苦しい空気が充満していた。

「今度は何言われるんだろー･･･」

「さぁ…。聖夜は何か聞いてる？」

『いや…私も何も知らされていない』

息が詰まる。早くいつもの格好をしたい。

そしたら。

ポーン、と小さな音を立てて、エレベーターが15階で止まる。

扉が開いた瞬間、3人で外に飛び出した。

そして部屋まで全力疾走。

カードキーを差し込んで部屋に入れば。

「おぉ、早かったの」

ソファーで悠々とくつろぐ理事長の姿があった。

「…それで、どうしたんですか？」

私達もソファーに腰掛ける。

「ぬしら、夕食は美味だったかの？」

「味なんてわからなかったよー。それでなくてもみんなと同じ席だしー」

きっと女の子らしく、を心がけたんだろう。

普段の数倍は遅いペースで食べ物を口に運んでいた。

それに食べ始めてすぐに呼び出されたし。