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解放された瞬間、瞳は勢いよく岬から離れた。
そして私の隣に戻ってくる。
次は瞳が王様の番のため、彼らが割り箸を引くのを待つ。
「よし、全員引いたわね」
「お前どうせロクでもねーこと命令すんだろ」
「まぁ俺は瞳ちゃんのこと信じてるよ」
王様に“変な命令するな”と圧をかける藤城と吉良。
被害を被てる瞳が優しい命令なんてするわけないのに。
ちなみにもちろん私も被害を受けたらそれ相応の命令をしようと思っている。
「じゃあ、3番から7番」
「ちょ、それって男全員じゃねぇの」
「言い換えれば全員ね」
秋山が非難めいた視線を送っているけれど、瞳はそれを無視。
「俺らに何させよーってんだよ貧乳」
ブロンドの髪をがしがし搔きながら、迷惑そうに突っかかる藤城。
嫌そうな顔をする彼らに向かって瞳は。
「ん?全員で組体操のピラミッド作って」
笑ってそう言った。
「はぁ!?鬼かお前は!何が哀しくてこのメンバーで組体操だよ!」
「てゆうか瞳ちゃん、5人じゃ無理だよー!1番上に乗る人いないじゃんー!」
確かにピラミッドを作ろうと思ったら最低でも6人いる。
でも私は指名されてないから参加する気はない。
「いいわよ別に、てっぺんの人いなくても。その中途半端なピラミッドを私は写真に収めるもの」
「とんだ嫌がらせだね、瞳ちゃん」
「あら、陽平の命令よりマシだと思うけど?」
まぁ確かに。
1人で校歌歌わされるよりはマシだ。
散々文句を言っていたけれど、最終的には未完成のピラミッドが完成。
私達はその滑稽、・・・楽しい構図を携帯に収めた。
この写真は面白いからとっておこう。
「次王様になったら絶対やり返してやる・・・」
『え、まだやるの・・・?』
「あったりめーだろ!このままじゃ終われねぇだろ!」
・・・これってもしかして自分の受けた屈辱を返すためにどんどん命令ハードになるんじゃない・・・?
え、余計指名されたくない。
「次こそ聖夜になりますように・・・」
『嫌、瞳が罰ゲーム受けて』
「私だってもう嫌よ!」
そんなことを言いながら再び割り箸を引く。
今度は私が1番。
そして今回の王様は。
「っしゃ、次俺ー」
星マークのついた割り箸をぷらぷらと振っている藤城。
藤城か・・・。
さっきやり返すって言ってたからなぁ・・・。
「1番と3番がポッキーゲーム」
当たってしまった・・・。
というか、さらっと言ってるけどそのゲームって確か・・・。
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作者名:聖夜 | 作成日時:2022年8月27日 0時