314 ページ14
「今からお菓子パーティーだよ聖夜ちゃんー」
先ほどとは打って変わって、にこにこと笑いながら私に告げる吉良。
「お前もさっさと座れよ」
早く始めたい藤城にそう言われ、しぶしぶ私も腰を下ろす。
座ったのは岬と暁の間。
一番の安全地帯。
しかし、このメンバーで時間が大人しく過ぎてくれるワケもなく。
「はーいっ。じゃあ王様ゲーム開始しまーすっ！」
突如、嬉々として声を上げる吉良。
手にはどこから取り出したのか7本の棒。
「･･･本気で？」
岬が心底嫌そうな声を出す。
暁も眉間に皺が寄ってる。
私も嫌な予感がするから拒否。
瞳も断固拒否、の姿勢を取っていたのだけれど。
「あー。まぁ俺が王様になんだけど」
「綾ちゃん待ってちょうだいよ〜。ここは俺でしょうに」
「や、僕がなるから2人に命令してあげるよー」
ヤル気満々の問題児達。
ついには勢いに押し流されて、本当に開始されることになった。
岬が割り箸の先を握って、みんな一斉に1本ずつ引く。
星マークのついたものを引いた人が王様という、わかりやすいものだ。
「あ。王様俺だ」
声を上げたのは岬。
「･･･ヨウ君か」
「コエー･･･」
吉良と藤城がぼそっと呟いた言葉に同意したかったけれど。
怖いのでやめておいた。
「じゃあ2番」
びくっと、肩を揺らしたのは藤城で。
明らかに顔色が少し悪い。
「廊下で校歌歌うか、この部屋で国歌歌うか。どっちがいい？」
“決めさせてあげるよ”なんて親切そうな口ぶりで言ってのけるけれど。
1人で歌うのキツ･･･。
「･･･部屋で国歌でお願いします」
あの藤城が敬語を使っている…。
王様ゲームってこんなに恐ろしいゲームなんだっけ。
ザ・キングな岬に誰も逆らえるワケがなく。
立たされて国家を歌わされる藤城。
そうして歌い終わった後に、王様が放った一言はといえば。
「はい、お疲れさま」
終了。感想もなし。
私、絶対標的になりたくない。
「よし、じゃあ次の王様決めようか」
もうやめたい、なんて言えるはずもなく。
再びみんなで1本ずつ割り箸を引く。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 56人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：聖夜 | 作成日時：2022年8月27日 0時
