ワケあり王女ー7ー (ページ2)

今日:3 hit、昨日:0 hit、合計:3,168 hit

302 ページ2

「どうする？敷地内なら自由に過ごしていいって言ってたけど」

「んー。あ、ちょっと待ってー」

ごそごそ。鞄を漁る吉良。

取り出したのは振動している携帯電話。

「もしもしー？」

どうやら電話らしい。

「えー？知らないよー。いるけどー」

はい、とそれを手渡されるけれど。

ぱっと、画面に目を落とせば。

『･･･暁からなんだけど』

「うん。代わってほしいんだってー」

予想外の事態に、どくっと心臓が揺れる。

『･･･もしもし？』

声が揺れなかったことを褒めてほしい。

「お前、なんで携帯の電源切ってんだよ」

流れ込んでくるのはいつも通りの暁の声。

携帯･･･。

あぁ、榊さんに預けてる方。

『放置してるから充電切れたのかも』

知らないけど。

『貴方今、沖縄じゃないの？』

「沖縄だけど？」

『私達に電話してる暇あったら修学旅行しなさいよ』

「ふーん？」

いや、ふーんじゃないから。予想外の動きしないでほしい。

「じゃあ切るわ」

『あ、そう･･･。なんか用事でもあったんじゃないの？』

「別に？声聞きたかっただけ。じゃあな」

ぷつ、と。一方的に切られた電話。

「どしたのー？聖夜ちゃん」

『･･･なんでもない』

本当に、タチが悪い。

暁家の人間は。