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〈聖夜side〉
気配を感じた時には遅かった。
元はと言えば、誰にも聞かれたくないからって極寒の屋上で電話していた私もいけないのだけれど。
かじかんだ身体ではうまく動けずにあっけなく空き教室だったはずの場所に引きずり込まれた。
さっきまで白い世界の中にいたせいで、カーテンで締め切られた室内は暗くて見えにくい。
目が暗さに慣れるよりも早く、くすくすと笑う声で私を引き込んだのが誰だかわかった。
「久しぶりね」
"寒そう"と、楽しそうに私の頬に手を当てる。
私はその手を振り払うこともできずに、ただただ彼女が口角を上げるのを見ているだけしかできない。
まぁ、その理由は一つしかないのだけれど。
『･･･離してくれないかしら、綿貫仙太郎』
この綿貫仙太郎という男が、私の身体を拘束しているからだ。
「あら、知ってたの？」
『まぁ』
"綿貫仙太郎"。莉鏡家に仕える使用人で、莉鏡ヒナの幼い頃からの付き人。そして･･･。
『貴女が恋愛感情を抱いている人でしょう？』
途端に笑顔が崩れて本性が顔を出す。
「ほんっと･･･貴女って思い通りになってくれないのね。生徒会の人間もそう。王女は私なのに」
くるくると指に毛先を巻きつけながら、憎らしげに言葉を吐く。
くるくるくるくる。
指先で髪が躍る。
「何かにつけてあんたと姫のことばっかり」
ぎり、と。彼女の指先に力がこもったのがわかった。
「終いには皆生徒会室にすら来なくなるし」
笑みを消した彼女が、燃えるような目で私を見据えた。
「鬱陶しいのよね、あんた。独りにすれば崩れた顔が見られると思ったのに、さっさと学校に来なくなるし。なんなら、けろっと退学届出しに来るし」
彼女の口から吐き出される言葉を適当に聞き流す。
我儘王女様の考えの通りにしてあげたというのに何がそんなに不満なのか。
「私は、あんたがめちゃくちゃに傷ついて、ぐちゃぐちゃになって壊れるところが見たいの」
『一応、聞いとく。どうして私がそこまでしてあげなきゃいけないの』
確かに私は事実上美鷹の王女になって、暁の隣にいたけれど。
他に好きな人がいるというのに建前上の婚約者のことについてここまで執着して。
「決まってるじゃない。私よりもちやほやされる女ってムカつくからよ」
唖然。
「何に対しても無関心だった昴さんが隣に置いているだけで腹立たしいわ」
睨みつけていたかと思えば、また笑みを貼り付ける。
理解が、出来なかった。
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聖夜(プロフ) - 天宮さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2019年5月20日 23時) (
レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
天宮(プロフ) - この小説とても面白いです！これからも頑張ってください！！ (2019年5月20日 20時) (レス) id: 9819c94959 (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ちゅんさん» お待たせしましたー！ありがとうございます頑張ります！ (2019年3月31日 9時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 待ってましたー！！これからも更新頑張ってください！！楽しみにしてます！ (2019年3月31日 1時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ラビットさん» お待たせしました！ありがとうございます頑張ります！！ (2019年3月31日 0時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖夜 | 作成日時：2018年8月14日 20時
