197《どうかひとつだけ》 ページ47
〈綾side〉
冷たい廊下がたまにキュッと悲鳴を上げるのを聞きながら、ずかずかと足を進める。
窓から差し込む陽の光が眩しくて溶けそうだ。
「･･･メンドクセーな」
頭をガシガシかきながら独り言。
茶色い重厚な扉の前に立ったとき、無意識に溜め息が零れた。
開ければ面倒事が待ってることは目に見えてる。
まぁ、開けないワケにはいかないのだけれど。
「しゃあねぇなー･･･」
面倒事は大嫌いだ。
まぁここで立ち止まっててもラチはあかないと、仕方なくドアノブに手をかけようとした、そのとき。
ガチャッと、開かれた扉。
眉根を寄せる俺の前に顔を出したのは。
「いい加減、観念して入って来たら？」
全てを見透かしたように苦笑する陽平だった。
「つーか、なんで俺が立ってるってわかったんだよ？」
「ん？そろそろ来る頃だと思ってたから」
「･･･俺お前苦手だわ」
「今更」
柔らかく笑う陽平を押しのけて部屋の中に入る。
いるのは陽平と昴。
あとは、
「久しぶりだなー、綾」
面倒事の種、一之瀬だ。
コバルトブルーの瞳が俺を見定めているような気がするのは、多分･･･。
「お前こんな時間にココにいていーのかよ？美鷹と違って授業免除とかねーだろ？」
「あー、いんだよ別に。どうとでもなるだろ」
「【どうとでも】、ねぇ」
「深読みするなよ、秋山でもあるまいし」
深読みはカナの専門だしな。
今ここにいないってことは、仕事にでも行ってんのか･･･。
年末は毎年大変そうだからな、アイツ。
「そんなことはどーでもいいから本題に入ろうぜ」
めんどくせーことは嫌いなんだよ、昔から。
「そうだな。俺もあんま時間ねぇし」
俺の提案に一之瀬が同意する。
携帯で時間を確認してから、あらためて口を開いた。
「単刀直入に言えば、ウチの下のヤツがやられた。昨日までで7人」
「7人か･･･。結構な数だね」
陽平がパソコンに何かを打ち込みながら一之瀬の話に相槌を打つ。
一度陽平のパソコンを覗いてみようと試みたけど、ガッチリロックがかかってて全く見ることができなかった記憶がある。
「相手は･･･って、どーせ紅明だろ？」
俺の質問に一之瀬は頷く。
最近また紅明の噂が派手に入ってくるようになった。
その噂があの2人の耳に入んねーようにすんのも一苦労だ。
「一之瀬、もっと詳しく話せ」
昴の命令に、一之瀬は細かい説明を披露し、「じゃあまた来るわ」と慌てた様子で帰っていった。
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聖夜(プロフ) - 天宮さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2019年5月20日 23時) (
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天宮(プロフ) - この小説とても面白いです！これからも頑張ってください！！ (2019年5月20日 20時) (レス) id: 9819c94959 (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ちゅんさん» お待たせしましたー！ありがとうございます頑張ります！ (2019年3月31日 9時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 待ってましたー！！これからも更新頑張ってください！！楽しみにしてます！ (2019年3月31日 1時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ラビットさん» お待たせしました！ありがとうございます頑張ります！！ (2019年3月31日 0時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖夜 | 作成日時：2018年8月14日 20時
