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「もーっ、生徒会も大掛かりなことするよねー!全然わかんなかった!ねぇタク!」
「そうだね。普通に信じてました」
戸惑っていたはずのタクもなぜか笑顔で。
ちらっと後ろにいる3人を見れば、ドヤ顔で私を見ていた。
『えっと・・・。なんの話?』
今にもなだれ込んできそうなスミレを手で制して問えば。
「生徒会のイベントの話っ!」
『イベント・・・?』
「ほらーアレだよ聖夜ちゃんー。ヒナちゃんが本当の王女だったとかってやつー」
ここでようやく説明してくれたのは、にこにこしている吉良で。
「今年は文化祭なかったからさー。生徒のみんなを驚かそうって生徒会で企画したでしょー?」
「"実は本当の王女がいました"ってな。お前も案外演技うまかったじゃねーか」
藤城も吉良に同意するようにして口を開く。
なんとなく理解した。
あの一連のことは文化祭の代わりに生徒会が用意したイベントってことになったのか。
そう決まってたなら教えてくれればよかったのに。
「まんまと引っかかったって感じ!聖夜があんなに演技うまいなんて知らなかったし!」
「ほんとですよ。僕達王女にほんとに嫌われたのかと思って、すごく焦っちゃいました」
「今度からイベントでもやめてよね!普通に楽しめるのにしてよ!」
「衝撃的ではありましたけどね」
それに同調するように、教室中から「ビックリしたよね」「普通に騙されたー」なんて声があがる。
賑やかになった室内は、急に暖かさを増したようだった。
「ごめんねー。今回のテーマは"驚きと意外性"だったからー」
「そこの2人には悪かったな。嫌な思いさせて」
スミレとタクに謝ってくれる吉良と藤城。
謝られた2人は、逆に申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「いえっ、そんな優斗君や藤城先輩に謝ってもらわなくても・・・っ!!」
「そ、そうですよ。イベントだったワケですし。王女の言ったことだって、全部セリフだったんですよね?」
ぎゅっと、心臓が縮む。
喉の奥が、急に熱くなった。
思考が別のところに行ってしまいそうになるのを止めてくれたのは藤城だった。
涙が出そうになるほど穏やかな声で。
「台本通りのセリフだよ、全部。なぁ?聖夜」
ほんと、大事なところでだけ優しさを出してくるの、やめてほしい。
みんなが優しくて、困る。
『・・・スミレ、タク。この後音楽室で一緒にサボってくれる?話したいことがある』
大事なものが増えるのが嬉しくて、とても哀しい。
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聖夜(プロフ) - 天宮さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年5月20日 23時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
天宮(プロフ) - この小説とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2019年5月20日 20時) (レス) id: 9819c94959 (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ちゅんさん» お待たせしましたー!ありがとうございます頑張ります! (2019年3月31日 9時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 待ってましたー!!これからも更新頑張ってください!!楽しみにしてます! (2019年3月31日 1時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ラビットさん» お待たせしました!ありがとうございます頑張ります!! (2019年3月31日 0時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:聖夜 | 作成日時:2018年8月14日 20時