180《漂う温度》 ページ30
〈瞳side〉
冬は速度を一定に保って、気まぐれに世界を白く染める。
咽せかえるようなその色も、以前よりまともに見られる。
「はい、瞳ちゃん」
何度目かの白い息が消えた頃、手渡されたのは温かいココア。
「ありがとう」
笑いながらお礼を言って、それに口をつける。
「･･･ねぇ、陽平」
「ん？」
「あれ･･･って、どうなの？」
今日も彼は甘さの欠片もないブラックコーヒーに口をつける。
その目元からは、またメガネがなくなっていて。
それが嬉しいと思う。
彼が心を許してくれてる証拠だから。
「どうって言われてもねぇ･･･」
「まぁ、そうなんだけど」
はぁ、と吐いた息は洩れず白く染って。
そしてまた、跡形もなくすぐ消える。
手にしたココアの温かさがとても恋しい。
「昴は？」
ふと、あの黒を思い出す。
まぁ、大方予想はできるのだけれど。
「寝てるよ、部屋で」
その言葉に、「やっぱり」と呟く。
「ずるいわね」
「本当に」
できるなら、私達だってこの場にいたくないというのに。
「止めてきてよ、陽平」
「いやぁ、無理でしょ。だって更にテンション上がってるし」
そう言って指差した先にいるのは。
「ちょ、見てー！これすごくない！？僕って天才じゃないー！？」
「はぁ！？お前が天才なら俺様は神だっつーの！」
「ちょいちょい僕ちゃん達〜。俺のこと忘れちゃ困るよ〜。俺が一番でしょ〜？」
バカx3。
「･･･止めてきてよ、陽平」
再度乞う私に。
「いや、無理でしょ？」
再度断る陽平。
遠い目をして見つめる私達の視線の先にいるバカ達が、何をしているのかと言えば。
「リョー君もっと雪持って来てよー」
「あぁん？自分でやれよ」
「シンデレラ城作るって言ったのリョー君でしょー？」
「ちょ、待て待て待て。女体じゃねぇのかよ〜？」
「よし、じゃあシンデレラ城の中に寝そべる女体を作ろうぜ」
「だから作るなら雪持って来てってばー」
意味わからないんだけど。
最初は巨大なカマクラ作るって言ってなかった？
出来てるものはただの雪玉なんですけど。
悲鳴のように叫ぶ風に、黙って髪を弄らせたまま目を細めて3人を観察する。
白い景色に、カラフルな髪の色がよく映えていた。
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聖夜(プロフ) - 天宮さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2019年5月20日 23時) (
レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
天宮(プロフ) - この小説とても面白いです！これからも頑張ってください！！ (2019年5月20日 20時) (レス) id: 9819c94959 (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ちゅんさん» お待たせしましたー！ありがとうございます頑張ります！ (2019年3月31日 9時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 待ってましたー！！これからも更新頑張ってください！！楽しみにしてます！ (2019年3月31日 1時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ラビットさん» お待たせしました！ありがとうございます頑張ります！！ (2019年3月31日 0時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖夜 | 作成日時：2018年8月14日 20時
