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〈瞳side〉


聖夜が無事、昴の隣に帰ってきた。

とにかく、よかった。

もう慣れた綾と2人の帰り道に考えるのはその事ばかり。

聖夜が双子の姉だった。

その事実は衝撃的だったけど、私も慣れないし、幼馴染という関係性のままにしよう。

そう話したからもう大丈夫。

多分、私と聖夜の間にはまだ何かあるんだと思う。

これから少しづつそれを知っていければいい。

そう、思った。

ここまで黙々と1人で考え事をしていた私は、いつもと違う綾の様子に気がつかなかった。

それに気づいたのは、部屋についてから。




「・・・ふぅ」

部屋に入ってすぐ、洗面所へ行って、手を洗って・・・いつものルーティンをこなしてリビングに戻れば。


「あ、れ?座ってなかったの?綾」


立ち尽くしている綾。

いつも来たら自分の家のようにくつろいでいるのに。


「座ってて、お茶淹れるから」


とりあえず彼の腕を引いてソファーへと促す。

キッチンに行こうと身体の向きを変えた瞬間。


「・・・・・・綾?」


後ろから抱き締められた。

すっぽり、私の身体を覆うように。

その行動に、全身が総毛立つ。

彼らしくない。こんなことするの。


「・・・どうし、たの?」


部屋の中は気味が悪いほど静かで。

呼吸の音しか、聞こえない。

しばらくそうして身動き一つできなかった。そして、やっと口を開いた彼の言葉はとても思いがけないもので。


「・・・悪かった」


ぽつり、落とされたのは謝罪の言葉。

その真剣な声音に、惑う。


「何、「悪かった。・・・何も知らずにいろいろ、言って」」


その声も腕も、震えてなんていないのに。

彼が、泣いてるんじゃないかって。

そう思ってしまいそうなほど、痛い声だった。


「貴方が謝ることじゃないでしょ?私だって何も言ってなかったんだし」

「違う」

「何が、違うの?」

「違う・・・。お前が言わなかっただけじゃない。お前が言いたくなるような関係を築けなかった俺達にも非があるんだ」

「・・・綾」

「お前を無理やり姫にして引き込んだのは俺だ」

「綾」

「なのに、」

「綾っ」


彼の名を呼ぶ。必死で。


「綾のせいじゃない。誰のせいでもない。ごめんなさい、私、」


貴方に、そんなことを言わせたいんじゃないの。


「変な罪悪感を、与えてしまってごめんなさい。・・・綾、」


ちゃんと知ってたのに。貴方の心がすごく優しいこと。


「もう逃げないから・・・」


そう呟けば、彼の腕が力を増した。

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聖夜(プロフ) - 天宮さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年5月20日 23時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
天宮(プロフ) - この小説とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2019年5月20日 20時) (レス) id: 9819c94959 (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ちゅんさん» お待たせしましたー!ありがとうございます頑張ります! (2019年3月31日 9時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 待ってましたー!!これからも更新頑張ってください!!楽しみにしてます! (2019年3月31日 1時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ラビットさん» お待たせしました!ありがとうございます頑張ります!! (2019年3月31日 0時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:聖夜 | 作成日時:2018年8月14日 20時

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