153《魔法の溶ける音》 ページ3
「待っ！今入らないで！」
扉を潜ろうとする聖夜を見て優斗が叫びながら追いかける。
私と綾も優斗を追いかけて扉を潜る。
もしこのとき、部屋に入らなかったら。
何か少しでも変わったのだろうか。
･･･ううん、きっと何も変わらなかった。
部屋の中に広がっていた光景に、目を見開く。
私の後ろで、綾が息を呑む声が聞こえた。
窓からの光で満ちた部屋の中。
上座に置かれた真っ白のソファー。
そこに座っている、黒い彼。
美鷹の王様。
そして。
いつも聖夜が座っている場所。
昴の隣。
そこに座って昴と腕を組む、1人の女の子。
「あら･･･？女の子？」
薫るような、甘い甘い声。
「生徒会に"私以外の"女の子はいないんじゃなかったかしら？だって昴さんが認める女は私だけでしょう？」
ドクンと、鼓動が叫ぶ。
"彼女"が一体何を言っているのか分からない。
「･･･お前、誰だよ」
低い声で、綾が問いかける。
一瞬きょとんとしたその女の子は、次の瞬間、とても美しく唇で弧を描いた。
「私は莉鏡ヒナ」
真っ直ぐ、こちらを見据えて。不敵な笑みで。
少しのブレもなく彼女は言った。
「昴さんの、婚約者よ」
時間が止まる。
綾が何か言っているけど、全く耳に入ってこない。
私の前で彼女のことを見据えて微動だにしない聖夜。
聖夜、今貴女は何を思っているの？
キリ、と拳を握る。
何も言えずに、ただ呆然と突っ立っているだけの私。
そんな私をよそに、"莉鏡ヒナ"はとても綺麗に微笑んで聖夜に声をかけた。
「貴女、もしかして天宮さん？」
ゆるくウェーブした色素の薄い髪がはらりと揺れる。
栗色を更に薄くしたような、ミルクティーみたいな色をしたふわふわの髪。
小さい身体。
少し緑がかった、茶色の瞳。
まるでフランス人形のような彼女。
『･･･えぇ、そうよ』
黙って座っている昴にも、まるで動じた様子を見せない聖夜にも、何か言ってやりたくなった。
「ねぇ、ちょっと2人でお話ししない？女の子同士の話」
ふふっと小さく微笑む彼女。
いくら人付き合いの少ない私でも、彼女の言う【女の子同士の会話】がニナやユカリとするようなものじゃないってことくらい容易にわかる。
イヤな気しかしないわ･･･。
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聖夜(プロフ) - 天宮さん» ありがとうございます！頑張ります！ (2019年5月20日 23時) (
レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
天宮(プロフ) - この小説とても面白いです！これからも頑張ってください！！ (2019年5月20日 20時) (レス) id: 9819c94959 (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ちゅんさん» お待たせしましたー！ありがとうございます頑張ります！ (2019年3月31日 9時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 待ってましたー！！これからも更新頑張ってください！！楽しみにしてます！ (2019年3月31日 1時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ラビットさん» お待たせしました！ありがとうございます頑張ります！！ (2019年3月31日 0時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：聖夜 | 作成日時：2018年8月14日 20時
