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美鷹高校が転校生を取らないと知ったのは、それからすぐあとのことで。それなら仕方ないと、落胆しながらも違う学校を探そうとしていた私に壮也さんは言った。


「大丈夫。絶対通わせてあげるから」


その言葉通り、彼はとても爽やかな笑顔で後日、私に入学許可証を手渡した。そして。


「瞳ちゃん、俺達と一緒に暮らす?それとも」


真っ白な病室の中で、彼は私に猶予を与えた。


「それとも、一人暮らしをしてみる?」


"家族"になるための、猶予を。

きっと、私の答えなどわかっていたはずなのに。

それでもあえて、私に選ばせてくれたのだ。


「・・・私、」


声が震える。


「・・・っ、ごめんなさい・・・っ、わ、たし、」


ぎゅっと、抱き締められる。

ふわりと、柔らかな石鹸の香りがした。


「うん。いいんだ。どっちの答えだとしても、キミは俺達のとても大切な子だから」

「ふぇ、っ」


あぁもう、どうして。

どうして、こんなにも優しい人達のこと。

こんなにも、私を想ってくれる人達のことを。


「大丈夫。ごめん、酷いことを聞いたね」


何度も傷つけてしまうんだろう。

何度も何度も。とても残酷に。


聖夜に出会ったのもその頃。

小学校低学年くらいまで一緒に学校に行っていた幼馴染だ、と壮也さんが病室に連れてきた。

どうやら、あの美鷹高校への転入許可を取ってくれたのがその子らしく。

私の一人暮らしのことを相談したら彼女の家の上のワンフロアに住まわせてくれることになったのだという。


「・・・え、と、華月瞳、です。お願いします」

『・・・天宮聖夜。同い年だから敬語じゃなくていい。何かあったら言って』


特に笑顔を貼りつけるでもなく、忘れられていることに対して傷ついた顔をするでもない。

淡々とした彼女の態度に居心地の良さを感じたのは確かだった。


転入前日、色々考えた私は、新しい学校でも、知り合いなんて作らないことを決めた。

またいつか、"私"が消えたとき。

傷つく人なんて、1人もいないように。

ひっそりと独りで生活して。

誰の記憶にも、残らないように。

たとえばそれで、一生記憶が戻ることなく、"私"のままで死を迎えたとしても。

それでも私は後悔しない。

あんな表情を、また誰かにさせるくらいなら。

こんな想いを、もう一度味わうくらいなら。

独りの方が、ずっといい。

だから。


お願いだから、誰も踏み込んでこないで。

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聖夜(プロフ) - 天宮さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年5月20日 23時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
天宮(プロフ) - この小説とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2019年5月20日 20時) (レス) id: 9819c94959 (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ちゅんさん» お待たせしましたー!ありがとうございます頑張ります! (2019年3月31日 9時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 待ってましたー!!これからも更新頑張ってください!!楽しみにしてます! (2019年3月31日 1時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ラビットさん» お待たせしました!ありがとうございます頑張ります!! (2019年3月31日 0時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:聖夜 | 作成日時:2018年8月14日 20時

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