151《白夜》 ページ1
〈瞳side〉
「おはよう、綾」
迎えに来てくれた綾に挨拶。
そんな私を見て、彼は短い溜め息をついた。
「何よ、人の顔見て溜め息なんて」
「お前マジで・・・ぃや、なんでもねぇ」
はぁ、ともう一度息を漏らしながら額に手を当てる綾。
なんなの、その失礼な態度は。
「何よ?やっぱり看病させちゃったこと起こってるの?」
一昨日突然ひいた風邪。
不思議なことに聖夜も同時に同じ風邪をひき、2人とも1日で完治した。
昨日学校に行ってから全員にお礼と謝罪をしたのだけれど。
「ちげーよ、バーカ」
「なっ、あのねぇ」
「あーウルセェ。さっさと行くぞオラ」
歩き出した綾のあとを慌てて追う。
「・・・?綾、身長伸びた?」
並んで気づいた。半年前とは身長が全然違う。
「はぁ?今更かよ。そりゃ成長期なんだから背も伸びんだろ」
「う・・・。だって最初の頃と見上げる角度が違うんだもの。なんだかちょっと大人っぽくなった気もするし・・・」
「大丈夫、お前もちゃんと老けたよ」
しれっとそんなことを言う綾に芽生える殺意。叩いてやろうと拳を上げたけれど、軽くかわされてしまった。
「お前なんかの攻撃食らうかよー、バカが」
「もうっ!1回くらい叩かれなさいよっ」
「何ギレだよそれ」
じゃれ合いながら学校へと足を進める。
やっぱり綾の口から出るのは意地悪ばかり。
だけど本当は歩調を合わせてくれてところとか、絶対に車道側を歩いてくれるところとか。
黙って優しさを差し出してくれていることを知ってる。
「綾」
「あー?」
「ありがとう」
「はぁ!?」
何言ってんだコイツ、的な視線で私を見る綾。
「何についての礼だよ」
「・・・いいのよ。ありがとう」
お礼をされるようなこと、自分はしてないと思ってるのよね、貴方は。
そういうところだけ謙虚なんだから。
「お前に礼なんか言われたら気持ちワリーんだよ」
なんて言いながら、私の頭をくしゃりと撫でる。
そんな彼の耳が少し赤いことは言わないでおいた。
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聖夜(プロフ) - 天宮さん» ありがとうございます!頑張ります! (2019年5月20日 23時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
天宮(プロフ) - この小説とても面白いです!これからも頑張ってください!! (2019年5月20日 20時) (レス) id: 9819c94959 (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ちゅんさん» お待たせしましたー!ありがとうございます頑張ります! (2019年3月31日 9時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
ちゅん(プロフ) - 待ってましたー!!これからも更新頑張ってください!!楽しみにしてます! (2019年3月31日 1時) (レス) id: 1fdd2ab3eb (このIDを非表示/違反報告)
聖夜(プロフ) - ラビットさん» お待たせしました!ありがとうございます頑張ります!! (2019年3月31日 0時) (レス) id: 8b1588b2b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:聖夜 | 作成日時:2018年8月14日 20時