【utit】自 作 自 演 の キ ス 魔 、 ま ふ ま ふ【mfmf】

その後番外編:緑の彼 ページ35

『浦田さん』

「喧嘩しました」

携帯を弄っていた浦田さんは、携帯から私達へと視線を向けた。
浦田さんは私とまふのことを交互に見たあと、何も言わない。
重い沈黙が続いたあと、数秒してやっと浦田さんが口を開いた。

「･･･喧嘩？」

「そうです。でも僕は断じて悪くありません」

『いいえ違います。私が断じて悪くないんです』

そこで既に対立してしまっているが、ここで口喧嘩を始めたら浦田さんに迷惑がかかる。
突っかかる必要なんてない。
だってあれは完全にまふが悪いのだから。
浦田さんも話を聞けば分かるはずだ。

「うん。･･････ちょっといいか？」

「なんですか？」

『どうしました？』

まふと声が重なった。
いつもならお互いの顔を見合って微笑むのが一連の流れだが、今日は見ることすらしない。
それほどまでに苛立っていたから。

「どっちも俺ん家いんのおかしくない？喧嘩してんだよな？違うとこ行くだろ普通」

『彼方と月斗が用事あるって言ってたので浦田さんのところに行ったら、どっかの誰かさんがついてきただけです』

「あ、そう･･･」

浦田さんの迷惑そうな顔に申し訳なさが募る。
話し合って解決した方が良かっただろうに、付き合わせてしまって本当にごめんなさい･･･
心の中で謝罪をしていると、服の裾が引っ張られるような感覚がした。
見てみると、泣きそうなまふが目に入った。

「･･･Aが、遂に愛想を尽かして僕から離れてくって思って･･･着いてきちゃって･･･ごめんね･･･」

眉を下げてポツポツと話すまふに、愛しさが湧き出てくる。
こんな悲しそうな顔をされてしまったら怒る気になんてなれるはずがない。

『･････････私が、愛想つかすわけないでしょ』

「Aっ･･･好きぃぃぃぃいい！！」

ボロボロと涙を流して私のことを抱きしめてくるまふ。
私が愛想をつかすわけが無いのに、まふはそういうところに疎い。
私は小さくため息をついてまふの背中に腕を回す。

「･････････バカップルかよ」

そう呟く浦田さんの目には光がなく、その姿が彼方と重なった。
ハッとしてまふを離そうとしたが、それをまふは許さず、逆に力を入れられてしまった。
浦田さんに、彼方と同じように罪悪感が沸いた。
彼方、浦田さん、本当にごめんなさい･･･

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