眠り姫と。【Fukase・Nakajin】 (ページ7)

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名前呼びの嬉しさ。【Fukase side】ページ7

キーンコーンカーンコーン

「あ、チャイム鳴っちゃったね!また話そうね。」

「うん!真一君!!」

彩織ちゃんとなかじんが席に戻っていった。

なかじんとAちゃんが喋ってるの見ると腹が立って、無意識に貧乏ゆすりしてた。

先生が教室に入ってきた。挨拶して席に座る。

するとAちゃんが小声で話しかけてきた。

「あのっ…慧君……怒ってる？

私、なんかしちゃったかな…と思って。」

眉を下げて心配そうに言うAにまた心が締め付けられた。

「ううん、全然怒ってないよ？大丈夫だよ。」

俺が答えると、良かったと笑顔になった。

ああ。もう。

その笑顔は反則だ。

その笑顔、俺にしか見せないで。

「あとでまた話そうね…!慧君ともっと話したいから。」

「うん。俺もAと話したい。」

わざと『A』を強調させた。

するとAは嬉しそうに微笑んだ。

Aは机の上を寝やすいように整理すると

机に突っ伏す体制になった。

「ありがと…慧。」

恥ずかしいのかすぐ顔を下ろしてしまったが、

耳が赤かった。

俺も『慧』と呼ばれたことで顔が熱を帯びていることがわかった。

なかじんは君付けだったから、

なかじんよりAと距離が縮まった気がして

嬉しかったし、

少し意識されてるのかなとも思った。