アイドル失格 FileNo.3

Story 91 ページ31

暫くして目が覚めた



どうやらディスクを付けっぱにしていたみたいで、デモがイヤホンから盛れている

電気代の無駄だって怒られそうだな




冷めたココアを口に運んでいると、フッと鼻に入ってきた匂い




『フルーツチキン…』






目を向けた先に白いビニール袋が2つ置いてあった


ヒョン来てたんだ…起こせよ







.








『え、なんでいんの』


チキンを取ろうと椅子から立ち上がって後ろを振り向くと

僕が今から座ろうとしていたエアソファに見覚えのある人が寝転んでいる



どういう状況なの、これ
意味わかんないんだけど…



寝ぼけた頭を回転させてもどうにもわからない

部屋間違えたとかかな？なんて考えてみるけど絶対そんな事じゃない



この人はパボ(ばか)じゃないことぐらい分かってる

どうしたらいいのか分からなくて、とりあえず袋の中に入っていた缶ココアを手に床に座り込む


ゆっくりと開ければ、目の前で寝てるその人がパチリと目を開けた






『…』


正直どうでもいい

目の前の人は眠そうに僕のことをガン見している


勝手に見ていろ、僕はあなたに興味はない



ココアを啜ってビニール袋からチキンの入った箱を取り出して黙々と食べ始める



SG｢…よく食うな｣

『…ﾓｸﾞﾓｸﾞ』







唐突にそう喋るこの人は体を起こして、僕のチキンをとると口に放り込んだ


…は？何食ってんの



図々しいにも程がある

そう思って自分の方にチキンの箱を寄せると、少しムッとした顔をしてチキンを奪われる




『…僕のなんですが』

SG｢…お前のマネヒョンに食っていいって言われてる｣






目を細くして、次々に口にチキンを入れていく姿がどうにも憎い

アユクデの時はめちゃめちゃいい人だと思ったし

むしろ尊敬レベルだった。




けど、



今は最低レベル




SG｢お前、いい歌つくんじゃん｣

『…』





ユンギさんのソロでの AugustDとしての活躍

正直に言って僕はそのCDを買ってしまったほど、聞き惚れていた


そんな相手に突然に褒められた





『…別に、です』





全然嬉しくないし

僕のチキンを食べる姿は憎いし憎いし憎い





…でも、ちょっと




『…このコーラ上げます』

SG｢…おう｣






ちょっとだけ許してあげた





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