アイドル失格

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今僕は、凄まじく困惑している。


目の前に広がる大きな会場。

たくさんの美男美女の集団。


そして、黄色い声でその集団に声をかけている方々。




『はぁ』

MG「まぁ、がんばれ」

『無理ですよ』

MG「社長直々に頂いた仕事だからな」


誰もこんな仕事が欲しいなんて頼んでないのに


MG「知り合いもいるだろ…あ、ほらセブチもいるし、テヒョナもいる」


そういう問題じゃない


MG「周りにお前の実力を見せてやる時が来たってわけだな」


別に見せなくていいんだけど

はぁ、なんで社長はこの仕事を僕にわざわざ持ってきたの？

ほかの子にやらせればいいじゃん。


僕1人だよ？


なに、全部ひとりで出ろって？

おかしな話だよね。



『なんで、アイドルになってまで運動会なんか…』







僕は今「アイドル陸上大会」に参加しています。


とても鬱なのです。





100ｍ競走に呼ばれ、たくさんの人の間を抜けてレーンに立つ

横には知らない人が並んでいて…


あぁ、なんでこんな事を




肩の力がすごく抜ける


カメラが1人ずつ抜いているのを見て、一生僕の番が来ないことを祈るけどそんな事はないわけで

隣の人が「キヨミ〜」とかやってるのを見て

ため息をつく



媚び売りなんか絶対にしない



自分に向けられたカメラを無気力に見つめて、ぺこりとお辞儀する

それでもどかないカメラに真顔で手を振れば、悲鳴に似た声を観客席から投げられる

誰がそんなファンサをしたのか…


静かにしろよ


まったく、ファンへの対応がいいのは構わないけど

僕はうるさいの嫌いだからな



レーンに居ないアイドル集団に目をやり

ファンサしてる人を探すけど…


全体に悲鳴を挙げさせるほどのファンサはあまりしていないように見えた


…やっぱりテロ？




怖いわ〜



気がつけば、まわりのアイドルはウォーミングアップを始めていて

僕も見様見真似で足首を回してみる





「ピー」



音がなり

クラウチングスタートの体制に入る


あ〜高校の時は散々やらされたな

鬱でしかなかったのを思い出した。



炎天下の下、陸上部が怪我して代わりに出ろと言われて

1ヶ月も走り込みをさせられたことがある。



「ピー…パンｯ」




破裂音がして体は不思議と前に倒れる

次に足が出て


無意識に反応する体が憎い



気がつけば目の前にはクッションで、なんとか肩を向けて盛大にぶつかると

ボイーんと跳ね返される



『うにゃ！』


ピー


「「「キャーーーー」」」

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