アイドル失格

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幾度目かのリハーサルを終え、控え室でやっとの休憩をとる。


本番まであと30分

僕の出番まで40分

計70分


1時間は眠っていられることへの喜び


自由な時間


マネヒョンも挨拶回りとスケジュール調整で当分は帰ってこない

そうなればもう、ね

こっちのもんですよ。




『…ねむ』



2人がけのソファに腰を下ろして、横に倒れれば自然にまぶたは閉じてくる。

あー

もう少しで夢のワンダーランドに行ける



「あ！お邪魔しまーす」

『( ˙-˙ )』


「僕のこと覚えてます？」



急に部屋に入ってきてオレオレ…ボクボク詐欺をかましてくる人。

…見たことあるような。ないような。


そんな顔の持ち主に眠りを妨げたバツを下すべく、無視する


年上だろうがなんだろうが関係ない。

今僕に必要なのは睡眠という至福の時間なんだ。



「ねー寝ないでー！さっき目、会ったよね!!ばっちり会ったよね!!」

『…ぐぅ』

「寝息ぐぅって口で言うあたり起きてるじゃん!!起きないと出来ないじゃん!!自分でバラしてんじゃん」



なかなかしぶといこやつ。



『…何の用ですか』

「諦めてくれてありがとう。僕のこと覚えてない？」



お会いしましたっけ…

あーでも何処かで見たような気がしなくもない。



『あーあの人ですか。どうも』

「…ASTROのキム·ミョンジュン」

『そーでしたね。そんな名前でした』



もうダメだ

覚えてないのバレた


途中でどうでも良くなって投げやりになってしまったのは謝りたい

が、しかし

彼は何故僕の睡眠を妨げるのか…



時間が刻刻と過ぎていく



MJ「僕、Aのペンなんだ〜!CDも買ったんだよ!」

あざす

MJ「取敢ずすげーペンなの!わかった?」


ねむたい


うつらうつらとした頭でｺｸｺｸと頷けば、満足したように僕の体をソファから起こして

厚かましいにも程がある、僕の隣に腰を下ろした


見るからに年上のこの人はよく喋る


僕に話しかけてくれる人は、ウジヒョンとジミンさんとシュガ様以外、変人しかいないのか

この人はほんの少し…Ｖさんと同じ匂いがしなくもない


むしろする




『眠りたいのでさようなら』


MJ「そんな冷たいこと言わないでよ〜カトク交換しよ!」



絶対しない


携帯をひらいて耳にイヤホンをさし

そのまま眠りの体制につく


いつの間にか手の中から消えたスマホは、隣に座る…MJさんの元に



MJ「よろしくね☆」



カトクふたり目の友達は、不覚にも全然友達じゃない人になった。

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