本当の願い (ページ8)

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今日も1人でバスに乗り込む
望はバイトらしく悲しそうな顔をしながら早々に帰った

「神ちゃんきたでー」

「流星！ちょうどよかった、紹介するわ」

いつも通りの光景に加わるいつもと違う光景

「重岡大毅です。」

そう名乗る彼は俺が神ちゃんと初めてあった日にぶつかったあの人
"しげ"と呼ばれていた好青年

「藤井流星、です」

「しげはな、俺の幼馴染やねん
産まれた時から一緒におるんやで」

神ちゃんの発言で重岡くんと同い年なのが分かった
爽やかさと穏やかさを兼ね備えた雰囲気は俺よりも年上に見える

「ともから藤井くんの話は聞いてます。」

"とも"当たり前のようにそう呼んだ
俺に笑いかけてくるけど目はひとつも笑ってない

「タメなんやからしげも流星って呼びいや」

「せやな、よろしく流星」

「よろしく、...しげ」

彼が神ちゃんを見つめる目に俺は見覚えがある

「藤井くん」

病院の帰り際、元に戻った呼び方、声のトーンで何を言われるか予想ができた

「俺、お前と仲良くする気ないから」

そういう彼の目はやっぱり笑ってない
このときにはっきりした
彼もまた神ちゃんに恋をしてる人間なんや

...そんなん、俺に勝ち目ないやん