“LOVE”～秘密の恋～㊤ (ページ35)

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東京から故郷へ帰ってきた。

本当にこれでいいのかな？

・・・ドラマの時だけ帰ればいいね。

翔くんとは喋らずに・・・。

「お母さん・・・」

「あら。A？帰ってきたの？言ってくれれば迎えに行ったのに」

「ごめんねっ・・・」

「そういえばドラマは？あるんでしょ？」

「・・・明後日だから。明日の夜帰る。でまた戻ってくる。ここから通う」

「・・・何かあったの？」

「・・・彼氏の事狙ってる人からの嫌がらせ」

「そう。それは彼知ってるの？」

「・・・うん。前の事は。でも最近の事は知らない」

言えないの。

「Aの部屋に布団持っていくわね」

「ありがと」

「いいのよ」といい押し入れに入っていた私の布団を持って私の部屋に持っていった。

「ありがと」

「いいの。それよりもお茶しない？」

「うん。・・・外にはあんまり出られないけど」

「ふふ。そりぁそうね。芸能人だもん」

お母さんは私の彼氏を“櫻井翔”とは知らない。

「はい。落ち着くわよ」

そう言って温かいミルクティーをもらった。

「ありがとう」

私は一口口に入れた。

「美味しい・・・」

「そう。良かったわ」

「はぁー」と一息ついてからお母さんは口を開いた。

「彼氏って誰なの？」

いきなりの質問で戸惑う私。

「ふふ。やっぱり芸能人の方なのね」

否定は出来ない。

「そうだよ。誰にも言わないのなら言うよ」

「自信あるよ！？」

笑いながら言うお母さんは大丈夫だと思う。

「・・・櫻井翔だよ」

「嘘でしょ？！」

「本当。私がバイトしてたパン屋さんの常連だったの。私ね、翔くんに出逢えたから芸能界入れたようなものなの」

「でもAも辛かったわね。嫌がらせ。そんな大者だったら嫌がらせしない人の方が居ないと思うわ」

一口飲んでコトンとカップを置く。

「でも、本当にファンが櫻井くんの幸せを願うなら嫌がらせなんてバカげた事しないわ」

幸せ・・・。

私にとっての幸せは翔くんの隣にいる事。

「Aの幸せは何？」

「・・・翔くんの隣にいる事」

「なら貴方は隣にいるべき人間なんじゃないかしら」

「・・・でも今はここにいたい。ここに帰ってきたい。今は距離を置きたいの」

「貴方が選んだんだから私は口出ししないわ」

何だかお母さんから暖かい温もりを感じられた。