【ツルネ】遣らずの雨 (ページ18)

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19時

またしても私が最後の一人になっていたので、鍵を返しに職員室へ向かった

「失礼します、三栖です。美術室の鍵を返しに来ました。」

少しだけ、滝川さんがいることを期待したのに

彼の姿はなくて

私はそそくさと学校を出た。

傘もささず、雨の道を歩く

今まで絵を描くことに夢中になりすぎて、恋なんてまともにしてこなかった

一目見ただけで、ここまで恋焦がれるのは初めてなのだ。

でもこんなに辛いのなら、恋なんて知りたくなかった。

雨に交じって涙がこぼれ落ちたその時

滝川「三栖！！」

「っ！！」

後ろから滝川さんが呼ぶ声がして私の足が止まる。

心臓が飛び出しそうなくらい、心拍数は上がっていく

泣いているのがバレてしまう気がして、振り向けずにいると

私に雨が当たらなくなっていた。

滝川さんと同じ傘の下にいるのだ。

「なんで…」

滝川「…風邪ひくぞ」

私は勢いよく滝川さんの胸に抱きついた。

滝川さんは少し悩んでから、私の背中にそっと腕を回してくれた。