【ツルネ】遣らずの雨 (ページ14)

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周りの部員が帰っていき、どれくらい経っただろうか。

気づけば1人になっていた。

時計を見れば、20時になろうとしていて外は真っ暗になっていた。

キャンバスはまだ半分も完成していなかった。

時間と手間をかけ、丁寧に描いている。

ここまで手を込めて描くのは初めてかもしれない。

私は、急いで片付けをすると美術室の鍵を返しに職員室へ向かった。

「失礼します、三栖です。美術室の鍵を…滝川さん！」

滝川「おお、三栖、こんな時間まで残ってたのか？」

滝川さんは、私から美術室の鍵を受け取ると、壁に貼られた大きな鍵掛けにかけてくれた。

「はい。夢中で描いてたら、すっかり遅くなってしまいました。」

森岡「滝川くん、もう遅いし送っていってあげたらどうかね？」

滝川「そうですね。三栖もそれでいいか？」

「は、はい。ご迷惑をおかけします。」

滝川「それじゃあ、森岡先生。お疲れ様でした。」

「失礼します。」

職員室を出て、2人きりになる。

出会ったあの日以来だ。

私の鼓動は速くなっていった。