兄弟2人 ページ28
.
もう二度と、重ねたくなんてなかったのに。
「ルフィ〜！！痛ぇとこねえか！？」
「シシシっ、おう！！もう大丈夫だぞ、エース！！」
複雑な甥と叔母の関係が解消されてから幾日か。
エースが待ちに待っていた最愛の弟、ルフィの面会が漸く許可され喜び勇んで病室へと飛び込んだ。
ルフィを治療した海賊、トラファルガー・ローが病室で騒ぐな！！と怒鳴っている。
「……エース、病室では静かに。彼も貴方も怪我人なのですよ」
「ぐ……はい」
「誰だお前？」
付き添いで病室に訪れていたヒルデにやんわりと注意されて素直に黙る。一人、ルフィが不思議そうな顔をする。
戦場で一度は相見えているのだが、あの時の彼は体の酷使により意識が朦朧としていた為、ヒルデの事を咄嗟に思い出せなかった。
ただ、暫くその顔をジッと見つめて、あっ！と思い出したのか円らな目を大きく見開いて指を指した。
そんなルフィの反応にも、気を悪くした風もなくヒルデは優しく笑いかける。
「思い、出しましたか？」
「お前、あの時の！ありがとな！！エースを助けてくれて！！」
「ふふ……いいえ、貴方達が無事で本当に良かった」
感謝の言葉と共に向けられる満面の笑顔に、古い記憶の何処かが熱くなった。
懐かしい、という感情がエースを目にした時よりももっとずっと、強く感じて少し苦しいくらいだった。
「改めまして、私の名前はゴール・D・ブリュンヒルデと申します。どうかヒルデ、とお呼びくださいね」
「わかった！俺の名前はモンキー・D・ルフィ！海賊王になる男だ！！」
室内でも頭に被る麦わら帽子を押さえて元気良く言った。
しかし、ヒルデの名前を聞いてんん？としかめっ面で何かに気付いたらしく、キョトンと穏やかな笑みを浮かべる彼女をまじまじ見直した。
「ゴール・D……？」
そして、頭に？を浮かべて今度は兄エースの方を見る。
「エースの、母ちゃん……？」
「はあっ！？なっ、馬鹿野郎！！」
「まぁ……うふふ」
予想斜め上の発想にエースは顔を赤くして怒り、ヒルデは楽しそうに笑い声を漏らした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 89人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きょ(プロフ) - こんなに胸が締め付けられて、感動するお話は初めてです。どれだけ言葉を重ねても、作品を前にすると薄っぺらくなりそうなので一言、素晴らしい作品ですとお伝えできれば嬉しいです。 (2021年3月31日 23時) (
レス) id: 4c3e312f20 (このIDを非表示/違反報告)
カラフィナ(プロフ) - アルっさんさん» ドゥムジさん、その節（イベント）はお世話になっておりますどうぞこれからも宜しくお願いします……（ありがとうございます。確かにヒルデ＝ブリュンヒルデという訳ではないのですが、限りなくそれに近い解釈で大丈夫です。私も見ないな〜と思って書きました。） (2019年9月30日 11時) (レス) id: bf6d2ed987 (このIDを非表示/違反報告)
アルっさん(プロフ) - とても素敵ですね。この作品がいつか多くの人の目に留まることを祈っています。ドゥムジです。(偉そうな口聞いてすみません応援しております。英雄王ならよく見ますがブリュンヒルデ(の様な夢主)が主人公なのは初めて見るので続きめっちゃ楽しみにしております。) (2019年9月30日 10時) (レス) id: cdae6f79c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：カラフィナ | 作成日時：2019年8月10日 10時
