重症 ページ33
彩の準備、他の吹部のメンバーの準備も整い、入場していく
『次の演奏は、鷹ノ宮高等学校です。
ソロ奏者は月野Aさんです』
会場にマイクを通したその声が響くのをAは噛み締める
ソロ奏者というその言葉が、どれ程までに重いものなのか。
吹部顧問が指揮棒を無駄な動きのない動作で上げる
空気が変わるとはこの事を言うのだろう
歓声も、物音も、何もかも止まる
(……飛雄くんが、見ててくれてる
大丈夫、きっと上手くいく)
フルートに命という息を込めて、演奏する
Aにとって何よりも効くお守りは他の誰でもない影山である
……Aに、才能なんて存在しない
初めて楽器に触れたのは2歳の頃だった
演奏なんてまだ出来るはずもないが、母親が弾いていたヴァイオリンに興味を持った
両手で弾けるほど簡単なものではもちろん無いし、幼いAに持てるものでもない
親も、ただ楽器に触れるAを見守るだけだった
時が過ぎ小学一年生の時、ヴァイオリンを弾こうと、持とうとした時
非力な故、持てなかった
その時、幼いAがどれほど落胆しただろうか
初めて触れた時のあの感動を、もう一度弾いてみて呼び起こそうとしたのに
……持てないくらいでは、才能なんてきっとない
しばらくの間は触れることなく、演奏することも無く楽器をそのままにしていた
そこからは親の意向もあり、精一杯に腕を鍛えた
やっと演奏できるほどになったのは小学二年生の頃、一年経った日だった
(……才能なんて、無くていい
飛雄くんが居てくれたらそれでいい)
席を立ち、静かな中で自分のフルートの音だけが響く
次の音、指、息、姿勢、強さ、弱さ、視線。
全てに意識を捧げて、弾く
開いた目にははっきりと、弾ききるという強さがあった
……まるで、試合中の影山のように
……＿……＿
影山たちは、きっとどこか似ていたのだと思う
たった一人で全てを演奏するAに、影山は見惚れる
いつもと違う、優しい表情ではなく勝利に貪欲さが見られるその表情
いつもは下げている髪を、全部あげて揺らすその姿
その全部に胸を打たれる
影山(……やっぱ、好きなんだよな)
それを自覚し、胸を抑える
そう思う自分はきっと、重症だ
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リクエストの方、非公開にして書いてます
書き終わったら一気にあげます！
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ピエロ(プロフ) - 美羽さん» ご期待に添えられて良かったです〜！こちらこそ、リクエストありがとうございました〜！ (2020年4月21日 18時) (
レス) id: ac5457e183 (このIDを非表示/違反報告)
美羽(プロフ) - 書き忘れました！イメージの更に上のいい作品でした！ (2020年4月20日 19時) (レス) id: c6cf9bb902 (このIDを非表示/違反報告)
美羽(プロフ) - リクエストの作品書いていただいてありがとうございます！とっても嬉しかったです。国見のちょうどいい独占感と無気力具合がめちゃくちゃ好きです！これからも更新頑張ってください！楽しみにしてます！ありがとうございました。 (2020年4月20日 19時) (レス) id: c6cf9bb902 (このIDを非表示/違反報告)
ピエロ(プロフ) - ゆんみ。さん» 最初豪快にしようかとも考えたんですけど、可愛い方がいいかな……と笑 (2020年4月19日 23時) (レス) id: ac5457e183 (このIDを非表示/違反報告)
ピエロ(プロフ) - ち！さん» ありがとうございます！！はい！！頑張ります！！ (2020年4月19日 23時) (レス) id: ac5457e183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピエロ | 作成日時：2020年3月25日 23時
