【HQ】お……女じゃねえからな！_2

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黒い渦に呑まれるような感覚


手も足も動かすことは出来ない


今、自分が目を開けているのか閉じているのかも分からない

そもそも寝ているのかな？
起きているって感覚では無いのは確かだ

全く何も分からない


でもきっとここは意識の中だと思う

実感も何もないけど、意識の中で私が起きているということは分かる


とりあえず、めっちゃ怖い
恐怖心だけはある


動けないし真っ暗だし
どうしたら良いのか分からない


みんなとバレーをしたいのに


うだうだ声に出ない文句を考えた刹那

目の前が一気に明るくなった


急に明るくなったことで、目の奥が痛くなった


しばらくして、目が明るさに慣れてくると同時に音も聞こえた


「ッ！」


あろうことか、思い出したくもないあの日がこの場に再現されていた


なんで

なんで……

早く起きてよ

目を覚ましてよ私


分かる。分かるこの感覚……

私、もう一回傷つかなきゃいけない……


体育館。バレーボールの跳ねる音
みんなのシューズのキュッと鳴る音
元気な掛け声


「A？どうした？」


少し幼い、鉄朗と研磨


「……な、何でもないよ」


何となく、笑ってみせる


「嘘。引き攣ってるよ」


なんで

ここは夢か何かじゃないの？

なんで……


考えたって仕方がないのだろうか


私はただ、早く目が覚めるのを願うのみだ

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