見えない傷 ページ45
「風衹先生、ご無沙汰しています。いつも妻がお世話になってます」
『お久しぶりです。旦那さん、今日は御一緒だったんですね』
「はい」
待合室まで彼女を見送りに出たら、赤ちゃんを抱っこした旦那さんが挨拶に来てくれた。
「会計してくるから、少しこの子を頼むな」
「えぇ、ありがとう」
旦那さんの腕から奥さんの腕に移って、その子はお母さんだと安心したのかふにゃりと笑う。
『ヒナちゃん、すっかり大きくなりましたねぇ』
くりくりお目目にぷくぷくしたほっぺ。奥さんに抱っこされてる可愛い女の子。
記憶の中だと小さくて首が座ったくらいだったのに、久しぶりに見た彼女の成長具合に思わず顔が綻んだ。
「あと3ヶ月で1歳になるんですよ。色んな物に興味津々で目が離せなくて」
『もうそんなに経つんですね。どうりで記憶より成長してるわけだ』
そわそわと足や手が動いて、たまにこちらを見上げて目が合う。
『お母さんと一緒にいるから気になるのかな？』
笑いかけると不思議そうにこちらを見上げる。
ヒナちゃんからしたら殆ど初対面だろうからある意味正しい反応かもしれない。
「風衹先生、良かったら抱っこしてみません？」
『ぇ…あの、泣かれませんか？』
「あまり人見知りしない子なんです。是非してあげて下さい」
幸せそうな笑顔に、おずおずと手を伸ばす。
ゆっくり手を添えられ、落とさない様に小さな命を抱きしめる。
『…結構、重いですね』
ずっしり、温かさを帯びた重み。
ヒナちゃんは大人しく抱っこされていたが、落ち着かなさそうにそわそわし始める。
「ぅ、…まぁ、」
『あの、四之宮さん…』
おろおろしてる私に四之宮さんは少しおかしそうに笑ってヒナちゃんを回収してくれた。
「ふふ、ごめんなさい。風衹先生でも慌てる事あるんですね」
『どう扱えばいいのか分からなくてですね…』
「ごめん待たせたね」
旦那さんが戻って来て四之宮さんはまた嬉しそうに笑う。
彼女の幸せそうな姿に少し安心した。
『それじゃ、気を付けて帰って下さいね』
手を振り、2人の背中が見えなくなるまで笑顔で見送った。
『……』
手を下ろし、深く息を吸い込んで吐き出した。
しっかりしなきゃ。
午後もまだあるのだから、少し深呼吸してリセットする。
落ち着き、口元に触れ下がった口角を上げる。
大丈夫と言い聞かせ、診察室へ踵を返して歩き出した。
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とよ(プロフ) - 初コメ失礼します。尊い、、尊き、、なにこの幸せおしどり夫婦もう一緒抱きつき合って幸せになっていやがれ！！と心の周波数が乱れ、思わず叫んでしまいました。無理せず更新はいつでも気長に待ってます！この作品大好きです！あと相澤先生もす((((( (2023年3月2日 21時) (
レス) @page49 id: d1624c287f (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - りゅうさん» りゅうさんお久しぶりです！この展開は前々から考えていたシナリオでした。読者の方々が望んでいた物語ではなかったかもしれませんが、もう少しだけ2人の話に付き合って頂けると幸いです。作品を読んでくださりありがとうございます！(*^^*) (2020年3月26日 20時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
シュリ(プロフ) - _Mikado_さん» _Mikado_さんコメントありがとうございます(*^^*)楽しみにして下さってありがとうございます！これからもよろしくお願いいたします！ (2020年3月26日 19時) (レス) id: 6347914aa2 (このIDを非表示/違反報告)
りゅう - こんばんは！最新話拝見致しました(涙)まさかと思いながら小説を読んでいて自分自身も悲しい思いでいっぱいです… (2020年3月26日 19時) (レス) id: 18e42f338b (このIDを非表示/違反報告)
_Mikado_(プロフ) - 続きたのしみです！更新頑張ってください！ (2020年3月26日 17時) (レス) id: f327cce89d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シュリ | 作成日時：2020年3月4日 1時
